木村淳「やりたい気持ち消えなかった」 元陸上短距離日本代表からプロボクサーに!

 陸上短距離の元日本代表からプロボクサーに転身した木村淳
 4月9日に辰吉寿以輝と公開スパーリングを行った木村淳
2枚

 元陸上短距離の日本代表という異色の経歴を持つボクサーがデビューを控えている。今年4月、大阪市内の興行内で、元WBC世界バンタム級王者、辰吉丈一郎の次男・寿以輝(26)=大阪帝拳=の公開スパーリングが行われた。そのパートナーを務めたのが、同門の木村淳(32)=大阪帝拳=だ。トップスプリンターとして活躍後にプロボクサーに転じ、今年の西日本新人王スーパーフェザー級にエントリー。7月17日にデビュー戦を控えている。

 スラリとした長い手足と身のこなしは、グリーンボーイのそれではない。右構えからジャブ、ワンツーと基本に忠実なボクシングを見せた木村に、公開スパーの相手を務めた寿以輝の父・丈一郎も「元々持ってるものがあるから練習すればうまくなりそう」と資質を認めた。

 18年ジャカルタ・アジア大会の男子1600メートルリレー、男女混合リレーに出場した陸上の元日本代表。華やかなキャリアの一方で「いつも誰かに負けてきた陸上人生だった」と木村は言う。

 沖縄・中部商3年のインターハイ200メートルで2位。16年リオデジャネイロ五輪400メートルリレー銀メダルの飯塚翔太に敗れた。中大4年ではインカレ400メートルで2位。実業団の強豪、大阪ガスでも18年日本選手権で400メートル2位と、常に上には誰かがいた。

 東京五輪の1年延期が決まった20年、「ここまでと決めていた」と五輪を待たずに引退。その2週間後の10月末に迷わず入門したのが、名門大阪帝拳だ。

 実は、ボクシングは陸上を始める前からの夢だった。父や親戚にボクシング経験者がいたこともあり「小学1年からボクシングをやりたいと思っていた」。しかし、ケガを危惧した家族に止められて陸上の道へ進んだ。

 それでも「やりたい気持ちは消えなかった。引退した時に、体が動く今しかないと思った」と一念発起。昨年11月にプロテストに合格した。7月17日には、堺市産業振興センターでデビュー戦となる西日本新人王スーパーフェザー級準決勝を迎える。相手の小松直人(森岡)は、13歳年下の19歳だ。

 現在は大阪ガスネットワークの営業マンとして外回りをしながら、週5日ジムに通う。2位に甘んじてきた陸上人生だったからこそ、頂点をとる難しさは知っている。「簡単にチャンピオンにはなれない。日本ランカーになれるように頑張りたい」。その登竜門として、まずは全日本新人王の勲章を狙う。(デイリースポーツ・船曳陽子)

 ◆木村 淳(きむら・じゅん)1991年5月26日、沖縄市出身。陸上の短距離選手として沖縄・中部商3年でインターハイ200メートル2位、中大4年でインカレ400メートル2位など活躍。大阪ガスに入社し、18年日本選手権400メートルで2位となって、18年のジャカルタ・アジア大会の日本代表入り。男子1600メートルリレー、男女混合リレーに出場。20年に引退。同年10月に大阪帝拳入門。昨年11月にプロテスト合格。7月17日にデビュー戦を予定。身長176センチ。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

ファイト最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(ファイト)

    写真

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス