ボクシングの“聖書”にも掲載 “金星ハンター”西田凌佑は尚弥の後継スター候補

 WBOアジア・パシフィック・バンタム級王者の西田凌佑(26)=六島=が米国で最も権威あるボクシング専門誌「ザ・リング」の8月号に「NEW FACE」(新鋭)として異例の特集を飾った。デビュー5戦ながら元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(志成)ら強敵を次々撃破した“金星ハンター”に世界も注目。同級世界3団体統一王者のモンスター・井上尚弥(29)=大橋=を後継するスター候補に期待される。

 米国から届いた「ザ・リング」を手に西田は興奮を隠せなかった。「本当に光栄。うれしい。海外の雑誌に載せてもらうのはびっくりしました」。

 ボクシングの聖書と呼ばれる同誌は、6月に全階級を通じて世界のプロボクサーを格付けする「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で尚弥を日本史上初の1位に認定した。その聖書に1ページ丸々、カラーで“デビュー”。世界にスター候補として紹介された。

 「注目してもらえる。もっと頑張って、もっといい試合を見せられるように」と期待に応える躍進を誓った。

 強者を連破したことが評価を高めた。2020年12月、プロ3戦目で世界挑戦経験がある強打の大森将平を攻略して判定勝ち。21年4月、敵地沖縄で比嘉を12回完封して大差の判定勝ち。日本男子最速の4戦目で地域王座を奪取した。

 170センチのサウスポー。本来、右のジャブと足を使い試合をコントロールする技巧派ながら、プロ入り後、接近戦を身に付けた。「出てくる相手はコツコツ当てる。今は接近戦で距離をつぶす方も安心感がある」と距離を支配する能力が高い。

 近大卒業後、1度は大手パン製造会社に就職。だがプロデビューした同級生の試合を見て現役への情熱が再燃。大反対する両親を説得し“脱サラ”した。

 アマチュアでも就職でも中途半端。だからこそプロで退路は断った。「1回でも負けたら辞めようと思ってやっている。ダラダラ勝てる相手とやるのも嫌。練習でやり残しないくらいしっかりして自分の力を出して負けたら仕方がない」。負け即引退の覚悟が大物食いにつながっている。

 プロ5戦全勝も4戦連続判定。「負けないことが一番」と焦りはないが、「倒したい」とKO勝利が欲しい。

 次戦は10月9日、大阪・住吉区民センターで同級15位のアルジュム・ペレシオ(フィリピン)と2度目の防衛戦。「自分も周りも世界に通用すると思ってもらえるくらいになる。ただ世界戦のチャンスがくれば仕上げていく」。V2を果たせば次は海外戦を視野。世界を獲る準備を進める。(デイリースポーツ・荒木司)

 ◆西田凌佑(にしだ・りょうすけ)1996年8月7日、奈良県香芝市出身。中学時代まで水泳、体操、陸上に取り組む。王寺工高かでボクシングを始め国体で優勝。近大へ進学し4年時にリーグ戦MVP獲得。2019年タイでプロデビューし1回TKO勝利。21年、WBO・APバンタム級王座を奪取。同年年間表彰で新鋭賞に輝く。家族は両親、弟2人と妹。左のボクサーファイター。趣味は旅行。血液型B。

 ◆「ザ・リング」 1922年に創刊された米国で最も権威ある月刊ボクシング専門誌。初代編集長ナット・フライシャーにより、全階級で体重差がない場合、誰が最強であるかを指す称号「PFP」が用いられ、世界ランクを認定する。6月、井上尚弥を日本人初のPFP1位に選出。

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