井岡一翔「人生で初めての不安」 JBC不手際による“ドーピング騒動”への思い
昨年12月31日に行われた田中恒成(畑中)との世界戦における日本ボクシングコミッション(JBC)のドーピング検査で違反の疑いをかけられたWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32)=Ambition=が8日、共同通信のインタビューに応じた。「人生で初めての不安を味わった」などと心身への影響などを語った。
◇ ◇
-JBCから違反なしと認められ半月ほどたった。今の心境は。
「潔白が証明できて良かった思いと、直接謝罪のないJBCの対応にずっともやもやしている。ボクシングでは肉体的、精神的なことを乗り越えてきたが、今回は自分ではどうすることもできないこと。人生で初めての不安を味わった」
-体調面に変化は。
「違反をしていない自分と世の中で起こっていることの矛盾で、ひどくストレスを感じた。疲れが抜けず、何かに追われる嫌な夢を見ている」
-輝かしい実績が疑いの目で見られた。
「やってきたことを侮辱されて、命をかけて闘ってきた人生を傷つけられた。つらかった」
-疑いの元となった大麻成分はB検体では検出されず、興奮作用のあるエフェドリンの検出もずさんな管理による腐敗の影響。検出濃度は違反に問われる1万分の1より低い数値だった。
「数値的にも全く違法ではなく、ドーピング違反でもなかった。それなのに警察に通報され、誤った事実をマスコミに報じられ、世間に誤解されて誹謗(ひぼう)中傷を受けた」
-JBCへの不信は。
「プロなので体を整え、勝つために試合に臨む。ただこのままJBCが管理を続けるとなると、信用できないので、精神的負担が大きく試合はできない」
-JBCの変革は。
「僕の人生が終わりかけた。その最低限の責任を感じてもらいたい。選手が安心してボクシングに集中できる環境を提供できるように努力する、という証明がないと」
-騒動を無駄にしないために。
「プラスに考えれば精神的に大きく、強くなっていくことができる。時代を切り開く、変えていくきっかけになると思うし、そこに意味を見いだしたい。同じことが他の選手に起きないように考えていきたい」
-今後のビジョンは。
「井岡一翔だからこれができている、唯一無二だと思ってもらえることをしていきたい。常に挑戦で、貪欲さを持ってやっていくだけ。まだ強くなることを証明したい」