寺地拳四朗 みそぎの号泣V8 不祥事で試合延期「負けたら人生終わる」重圧乗り越えた

 11回、久田哲也(左)に左ストレートをぶち込む寺地拳四朗(撮影・佐々木彰尚)
 防衛に成功し涙を流す寺地拳四朗
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 「ボクシング・WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ」(24日、エディオンアリーナ大阪)

 王者の寺地拳四朗(29)=BMB=が挑戦者で同級1位の久田哲也(36)=ハラダ=を3-0の判定で退けて8度目の防衛に成功した。2回に右ストレートでダウンを奪い、連打を浴びる場面もあったものの、手数と有効打で上回った。2020年に起こした不祥事による処分が明けてからの初戦に勝利し、試合後は涙を流した。敗れた久田は引退を表明した。

 みそぎのV8に人目もはばからず号泣した。12回を戦いきった拳四朗は勝ち名乗りを受けてもおなじみの笑顔とダブルピースは見せず、マイクを持つと絶句。あふれる涙をタオルでぬぐうと、不祥事で多方面に迷惑をかけたことを改めて謝罪し、「これからどうしていったらいいんだろうという不安の中で本当に勝ててよかったです」と安ど感を口にした。

 「負けたら人生が終わる」と覚悟して臨んだ戦いは簡単ではなかった。持ち味の距離を保っての正確な左ジャブで久田を中に入らせず、2回にダウンを奪う。だが、「そこから力んだ」と距離が狭まり、前に出る久田の連打を2度、3度と被弾。それでも、尻上がりにジャブの正確性を取り戻して押し切った。試合後は自身の都合で対戦が2度流れたことを久田に謝罪。「気持ちが強くて、倒せそうなパンチも効いているのがなくて、押された場面もあってヒヤヒヤした」と振り返った。

 過ちを悔い改めて「いろんな面で成長できた」という。20年7月に酩酊(めいてい)状態でマンション敷地に立ち入って住人の車を破損させる騒動(示談成立)を起こし、JBCから3カ月間の資格停止、6カ月の社会奉仕などの処分を受けた。社会的反響は小さくなく、王者の影響力を痛感した。

 社会奉仕活動では寺での重要文化財の掃除、鐘突きなど「なかなかできない」ことも経験し、「人のためとかそんなに考えなかったんですけど、考えられるようになった」と自覚。支えてくれたファン、関係者、加藤健太トレーナーら練習拠点の三迫ジムの面々へ勝利で恩返しした。

 再出発を果たし、狙うは主要4団体統一だ。WBAは京口紘人(ワタナベ)、WBOは5月8日に高山勝成(寝屋川石田)の挑戦を受けるエルウィン・ソト(メキシコ)、IBFはフェリックス・アルバラード(ニカラグア)が王者に君臨。「全部獲る予定。2つ獲っても意味ない。全員とやらないとダメ」と、最後は頼もしげに語った。

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