井上尚弥、圧倒 比嘉大吾との夢の対決を制す「真剣度は100%」
「チャリティーボクシングイベント・LEGEND」(11日、代々木競技場第一体育館)
現役世界王者、アマチュアの東京五輪代表らが3分3回のスパーリング形式で対戦した。メインイベントではWBA・IBFバンタム級統一王者の井上尚弥(27)=大橋=と、WBOアジアパシフィック同級王者の比嘉大吾(25)=Ambition=の夢対決が実現。尚弥が攻守に圧倒する貫禄を見せた。
世界の“モンスター”がデビュー15連続KO勝利の日本記録を持つKOキングに力の差を見せつけた。尚弥の指名によって実現した一戦。初回は両者ともヘッドギアを着用。「いつかは倒す相手として世界前哨戦として戦います」と意気込んでいた比嘉を尚弥は攻守でほんろうする。軽やかなフットワークと身のこなしで比嘉の強打をかわしながら、ガードのすき間を突き破るような鋭いジャブなどを次々と突き刺した。
2回にはガードを下げて比嘉の攻撃を誘う余裕を見せながらパンチを上下に打ち分けて優位に試合を展開。両者ともヘッドギアを外した3回には尚弥は自分の距離ではなく、接近戦での打ち合いに応じながらも一方的な形で最後まで押し切った。勝敗はつかない一戦だったが、尚弥の優位は明らかだった。
久々の観客の前での実戦を終えた尚弥は「自分の距離だけではなく、比嘉選手の距離でもやろうと思った。打ち合いも、ディフェンスも、いろんな戦いができていい出来だった」と、“魅せる”戦いを意識したことを強調。「真剣度は100%」と話した。
同じ階級で、将来的な対戦が期待されている比嘉との対戦を「このスパーはボクにメリットはない。比嘉選手がどれだけやれるか」と話しながらも、「ボクはレベルの差を見せなきゃいけないだけだし、プレッシャーもあったし、いい緊張感で臨めた」という。比嘉のこの後については「これからの成長具合では自分もうかうかしていられない。比嘉選手がベルトを持つようになれば楽しみ」と期待した。
自身の次戦はIBF同級1位マイケル・ダスマリナス(フィリピン)との指名試合が濃厚。「またサウスポー選手。これから切り替えてサウスポー対策をしたい」と気を引き締めた。モンスターの拳がコロナ禍に沈む世界に元気を与える。





