【長谷川穂積の拳心論】足に分があるゴンサレスを強引に捉えた田中恒成

 「ボクシング・WBO世界フライ級タイトルマッチ」(24日、武田テバオーシャンアリーナ)

 世界最速12戦目で3階級制覇を達成したWBO世界フライ級王者の田中恒成(24)=畑中=が7回2分49秒TKOで同級1位ジョナサン・ゴンサレス(28)=プエルトリコ=を退け、2度目の防衛に成功した。田中は執拗(しつよう)なボディー攻撃で3回に1度、7回に3度の計4度のダウンを奪い、最後はレフェリーが試合を止めた。

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 【長谷川穂積の拳心論】

 スピードのある選手同士の対決は、ポイントを取られていた田中選手の逆転勝ちとなった。両者のパンチのスピードは同じくらいでも、足の速さではゴンサレスに分があった。そのためロープにつめると、フットワークでスッと逃げられる展開が続いた。

 相手はボディーもあごもそれほど強くはなく、当たれば倒れそうな雰囲気はあった。しかし、田中選手が打ったところで素早く動かれるため、最後まで捉えきることができない。本来なら動く前に当てるか、動いた先で当てて、脱出させないようにしたかった。

 世界戦初のサウスポーとの対戦で、上体が柔らかく小柄なので攻撃の的が小さいこともあった。王者側はさまざまな戦略を立てていたはずだが、それがはまらなかった。

 そんな状況を打開したきっかけは、6回から強引に打ちにいったこと。ガードを固めて強引に攻めたことで、接近戦が得意ではない相手が動きにくい状態をつくった。意図的であったか否かはわからないが、そういう戦い方ができたことが収穫だった。今回のように試合中に相手の嫌がることを冷静に見て、これがダメなら次はこれと計算づくでできるようになれば、さらに強くなれると思う。(元世界3階級制覇王者)

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