新王者・久保隼を奮い立たせた亡き恩師の“遺言”

ベルトを巻き、涙目でポーズをとる久保隼=エディオンアリーナ大阪(撮影・西岡正)
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 「ボクシングWBA世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」(9日、エディオンアリーナ大阪)

 世界初挑戦で同級8位の久保隼(27)=真正=が11回5秒TKOで王者ネオマール・セルメニョ(37)=ベネズエラ=を下し、デビュー戦から12連勝で無敗のまま王座を奪取した。久保は7回に左右のフックを浴びてプロ初のダウンを喫したが、11回開始直後、セルメニョが赤コーナーから立ち上がらず、グローブを外して棄権の意思を表示した。「うれしいというより安心感だけ。終わってよかった」。新王者は素直な喜びを口にした。

 試合前日、久保は南京都高(現京都広学館高)ボクシング部の同期から亡き恩師の言葉を伝えられていた。同校ボクシング部顧問だった故・武元前川氏。村田諒太や山中慎介を育て上げ、右利きの山中や久保をサウスポーにスイッチさせた名伯楽だったが、11年に天国へと旅立っている。

 「隼は一人じゃダメだから、一匹狼でいるけれど、人のためと思うと自分の力に変えることができる。だからお前がついていてやってくれ」。その言葉をずっと胸に秘めていた友人は決戦を前に、「今まで黙っていたけれど」と久保に告げた。

 「泣きそうになった」。恩師の“遺言”に奮い立ち、前歯を折られたことにも気付かず、果敢に打ち合った。そうして手に入れたベルトにも「実感は全然ない。(対戦を熱望する)小国さんへの挑戦権を持つことができただけ。ベルトのためにボクシングをやっているわけじゃない」。素っ気なく答えた後、久保は続けた。「でも応援してくれる人たちが喜んでくれる」。誰かのために力を振り絞る-。そんな青年の心根を、故郷沖永良部島に眠る恩師は見抜いていた。

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