藤岡奈穂子が世界4階級制覇 日本初、世界でも女子タイの偉業
「ボクシング・WBA女子世界フライ級王座決定戦」(13日、後楽園ホール)
藤岡奈穂子(竹原慎二&畑山隆則)がイサベル・ミジャン(メキシコ)を10回TKOで下し日本初、女子世界タイの世界4階級制覇を果たした。大歓声の中、ジムを応援する歌手の吉川晃司の肩車でリングを1周し、喜びを爆発させた。
藤岡は1回から積極的に飛び込み、左右のボディーを打ち込んだ。2回にはカウンターの左フックでアゴを捕らえダウンを奪った。「リズムが取りにくかったけど2回くらいから距離がつかめた。パンチがなかったので踏み込みました」とペースを握った。
その後も攻めの手を緩めず一方的な展開としたが捕らえきれない。5回の猛ラッシュでも仕留めきれず、この回終了と同時に舌を出して悔しがった。
そして最終10回、ニュートラルコーナーに追い込み、連打を浴びせたところでレフェリーが試合を止めた。圧倒しながら最終回にもつれた試合を「本当にタフだった。ベルトを取りに来た気迫を感じた」と振り返った。
藤岡は11年にWBCミニフライ級、13年にWBAスーパーフライ級、そして15年にはWBOバンタム級王座と世界3階級を制覇してきた。フライ級は2度の挑戦に失敗していただけに喜びもひとしお。「4階級を取らないと5階級に行けないので取れてほっとしている」と笑った。
次は女子世界初の5階級制覇をかけライトフライ級を狙う。3月4日には、柴田直子(ワールドスポーツ)がメキシコでアランドラ・ガルシア(メキシコ)に敗れ、IBF女子世界ライトフライ級王座の6度目の防衛に失敗した。藤田は「柴田が負けた相手とやりたい」と言う。成功すれば主要4団体制覇の偉業も同時達成となる。
もう一つの思いもある。11年3月11日、世界初挑戦の前日に東日本大震災が発生し、世界戦が中止となった。宮城県出身の藤岡は「あの時のことを忘れず、初心を忘れずに」と言い聞かせている。この日、地元から多くの友人、知人、関係者が来場し、声援を送られた。「この時期は震災の話題になるので、少しでも明るいニュースが届けられたと思う」と話した。



