山中、豪快V2 失神KOで病院送りに
「WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(3日、ゼビオアリーナ仙台)
WBC世界バンタム級は、王者・山中慎介(30)=帝拳=が、挑戦者で同級7位のトマス・ロハス(32)=メキシコ=を7回KOで下し、2度目の防衛に成功した。山中は7回に連打から強烈な左ストレートを見舞い、失神KOに追い込んだ。同フライ級は王者・五十嵐俊幸(28)=帝拳=が同級9位のネストル・ナルバエス(30)=アルゼンチン=を2‐0の判定で退け、初防衛に成功した。
被災地に、そして、我が子にささげる豪快なV2だった。2階級制覇に挑むロハスを病院送り。そのシーンは衝撃的だった。
山中は上体を柔軟に動かし、距離を取る相手を攻めあぐねたが、徐々に適応した。「練習通りに打てば当たる」と、セコンドの指示が出た6回に攻勢に出た。得意の左ストレートでぐらつかせ、7回にはワンツーから3発、4発と連打。5発目に強烈な左ストレートをたたき込むと、ロハスは意識を失い、前のめりに崩れ落ちた。
東日本大震災復興支援チャリティーとして行われた試合には、被災者2千人が招待された。山中はスコップ約50本を送り、がれき撤去のボランティアで支援するなど、被災地には特別な思いがあった。「久々にスカッとKOできた。東北でできて、みなさんに元気を与えられたかなと。それが一番大きい」と、充実の表情を浮かべた。
先月4日には長男・豪祐(ごうすけ)くんが誕生した。だが、沙也乃夫人が実家のある沖縄で出産したため、東京で調整する山中は出産日に1泊で会いに行っただけ。セコンドのゴーサインは「豪祐が見てるだろ!!自信持て!!」だった。「王者のまま、子どもに会いに行けるので安心している。豪ちゃん待っとけよ!」と、リング上からメッセージを送った。
威力を増した左での快勝。「すごいんじゃないですか」と自画自賛で笑いを誘い「名前がある実力者に(左を)試したい。もっと自分を磨けば、やるチャンスも出てくる」と、ジムの先輩、WBC・Sバンタム級名誉王者の西岡利晃に続く海外進出へ意欲を見せた。
ジムの本田明彦会長は次戦を「ゆっくり休んで、来年3月ぐらい」と明言。その次は指名試合の予定だ。得意の左で名王者への扉をこじ開ける。
