小山氏×安仁屋氏(3)『肩は消耗品』なんてことはない

 現役通算320勝を誇る“虎のレジェンド”小山正明氏(83)と、現役時代に小山氏に師事した広島OB会長・安仁屋宗八氏(73)が西宮市内で緊急対談、虎と鯉を巡るあれこれを語り尽くした。第3回は投手は強靱な肩をいかにして作り上げるか-について双方が持論を展開した。

  ◇  ◇

 小山「僕や安仁屋らがやってきた時代からすれば、今は考えられんことをやっているわな」

 安仁屋「先発投手は中4日が当たり前だったのが、今は中6日が普通。それで100球前後で交代、というんですから…」

 小山「それからすると、安仁屋はよう投げてくれたよな。僕が阪神でコーチをしている時に、リリーフで来る日も来る日も嫌な顔一つせずに投げてくれ、またそれに耐えうる内容を残してくれた。それができたのは、強靱な肩、体力があったからや」

 安仁屋「僕は投げるのが好きなだけですよ(笑)」

 小山「そうかもしれんが、本当にありがたかった(笑)。一時『肩は消耗品』てことを言う人がおったが決してそんなことない。僕らの頃は、完投するとだいたい130球程度費やしたんやが、コントロールのいい渡辺省さん(元阪神投手・渡辺省三氏)なんかはもっと少なかった。ただ、それを平気で投げるためにキャンプでどんだけ投げ込んだことか」

 安仁屋「今は100球投げただけで“投げ込み”と新聞に書かれますけどね」

 小山「130球前後で完投するとするならば、150~160球投げる体力を作っておかないといかん。それだけの“余力”が必要なんや。その昔、ヘルシンキ五輪(1952年)の競泳男子1500メートル自由形で銀メダルを取った橋爪(四郎)さんは毎日1万メートル泳いで練習しとったと本人から聞いた。バルセロナ(92年)の女子200メートル平泳ぎ金メダリスト・岩崎恭子も練習で1万メートル泳いどったというな」

 安仁屋「根本さん(根本陸夫氏=元広島、西武、ダイエー監督)が監督だった時、遠征先で僕と外木場(義郎氏)が呼ばれて先に球場に行くんです。ホームの練習が始まる前ですよ!根本さんが『ブルペン2人分貸して』と相手側に頼み、そこから延々と投げるんですが…。終わったら(ビジターの)こっちの練習も終わってましたね(苦笑)」

 小山「そうやってあんたの強い肩ができたんやな」

 安仁屋「その時は『何でワシらだけ?このくそオヤジが!』と思ってましたが、成績が出るようになって初めて『あれがあったから』と思うようになりました。根本さんに感謝してますよ」

(第4回に続く)

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