小山氏×安仁屋氏(2)僕らの時代は投げて覚えたもんです
現役通算320勝を誇る“虎のレジェンド”小山正明氏(83)と、現役時代は小山氏に師事したこともある広島OB会長・安仁屋宗八氏(73)が西宮市内で緊急対談、虎と鯉を巡るあれこれを語り尽くした。第2回は選手育成法について。これには両氏のトークがヒートアップした。
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小山「阪神にドラフト2位で入って来た高橋遥の初勝利を甲子園で見た時、本当に『えらいのが出てきたなぁ』と感じもんや。安仁屋も見たやろ?」
安仁屋「ワシはテレビで見させてもらったんですが、確かに手元でピュッと来る質のいい真っすぐを投げてましたね」
小山「それが投げた直後に出場選手登録を抹消され、10日休みやて(苦笑)」
安仁屋「あれは僕も嫌いですね。もし先発ローテーションに入れるんだったら、極端なことを言えば、中4日ぐらいでいいんですよ。間を開けすぎたらダメなんです。若い子は体の作り方を知らないんじゃけ」
小山「全く同感やね。(1軍マウンドの)感覚がなくなってしまうんや」
安仁屋「小山さんや僕らの時代は投げて覚えたもんですが、今の子は投げて覚えない、走り込みもしないでしょ。今の時代は違うと言われるかもしれんけど、それでいいのか、と思いますよ」
小山「高橋遥という子は肩があまり強くないと聞いた。それで間隔を取ってあげないといけない、と。それは理解しても、中10日以上というのはやっぱり解せんね」
安仁屋「ある投手について、首脳陣から『安仁屋さん、中6日の練習の仕方を教えてやってください』と言われたんですよ。今のカープの投手は、登板翌日がキャッチボールでその次は丸一日休み。その日は球場にも来なくていい。さらに次がキャッチボール、また次もキャッチボール…。いつ投げるの?(苦笑)」
小山「考えられんなぁ。それで次の登板でいい結果を出そうと思ったって到底無理やろう」
安仁屋「登板の1日か2日前に30~40球。僕はもう開いた口が塞がらなかった。でも、強く言えないですからね」
小山「そういう風に染まってしもうとるんやろうな」
安仁屋「いわゆるメジャー式というやつです」
小山「安仁屋よ、今やメジャーに見習うべきものは何にもないで(苦笑)」
安仁屋「向こうが日本の野球を見習っている時代なのに…それで強い肩、肘が出来上がって成績が上がればいいんですが、そうじゃないですからね」
(第3回に続く)