長谷川穂積×具志堅用高×比嘉大吾(1)引退するまで結婚せん方がいいかも

 ベルトを肩に笑顔で握手を交わす長谷川穂積氏(左)と比嘉大吾(中央は具志堅用高会長)=撮影・出月俊成
3枚

 デイリースポーツのボクシング評論「拳心論」で健筆を振るう元世界3階級制覇王者・長谷川穂積氏(36)の新企画「ボクが○○してみた!」。今回は、大器と期待を寄せるWBC世界フライ級王者・比嘉大吾(21)=白井・具志堅スポーツ=と具志堅用高会長(62)に、同ジムで「直撃取材してみた」。デビューから13連続KO、日本選手初の全戦KO勝ちで戴冠した新王者の強さの秘密が師弟の爆笑トークとともに明かされた。

  ◇  ◇

 長谷川「具志堅会長が比嘉君をスカウトしたんですよね」

 具志堅「沖縄の先輩後輩から情報があってね。最近はボクシングも変わってきて、昔は高校からのケンカボクシングだけど、今の子は小学生からやっていて基本がしっかりしている。だから高校から一生懸命教えてもなかなか勝てないもんなんだ。でも、大吾は高校からだけどプロの戦いをしていた。アマの人はどうして(好戦的なタイプを)負けにしちゃうのかな?」

 長谷川「インターハイはとってないの?」

 比嘉「全国大会では1回も優勝も準優勝もしてません」

 具志堅「宮古島で見た時には、これじゃインターハイで優勝はできないと思ったよ。ジャブもストレートも打てないから」

 比嘉「フックだけで足も使えなかったです」

 具志堅「プロのボクシングをしていた。パワーがあるから、これはプロで教えたらKOすると思ったね。それでガードを上げさせて、ジャブ、ストレート、フックのしっかりした打ち方を教えた。大きいの(パンチ)を小さくしたり」

 長谷川「これだけ連続KOするとは?」

 具志堅「デビュー戦でどういうボクシングをするかと思ったら倒したから、やっぱりパンチあるなって。(7戦目で)ユースのタイトル戦をタイでやって、敵地でKOしたから世界王者が見えたね」

 比嘉「あの時だけはKO狙おうと思って1回から行きました。判定じゃ勝てない」

 長谷川「(比嘉の手を見て)すごい拳しとる。オレよりデカい」

 具志堅「拳の大きさはバンタムかフェザーくらいあるよ。フライにしたらデカいもん。拳と肩幅を見てこれはパンチ効くなと思って。いかに小さい時に運動をしていたかもあるね。野球をしてたんだろ?」

 比嘉「小、中までずっと主将でした。いろんなところ守って投手もできます。遠投が得意でセンターからホームまで投げられます」

 具志堅「全身のバネとかパンチ見ていたら、ボクシングでいきなりつくられたんじゃない。小、中学で体がつくられているね」

 比嘉「少し硬式もやっていて、高校で硬式をやろうかなってのはあったんですけど、迷っている時に会長の映像を見たんです。そのビデオが終わってすぐ宮古に行こうと。(出身の)浦添市から宮古工に行きました」

 具志堅「宮古は環境がいい。逃げられないし、狭いし」

 比嘉「本島から宮古に行くってすごく田舎に行くことなんです。マックもなかったんですよ」

 具志堅「監督と僕の同級生が仲が良くて、卒業半年前に電話をくれたんだ」

 比嘉「迷わず出てきました。大都会でうれしかった。ホームシックとかまったくなくて、見るものすべてが新鮮で」

 長谷川「その時は彼女はいなかった?」

 比嘉「はい、ずっといないです(笑)」

 長谷川「それが唯一の心配やな。いろんなのが来るから、引退するまで結婚せん方がいいかも」

 比嘉「会長に次の日に言われたんです」

 長谷川「今の自分の姿は想像していた?」

 比嘉「まったくしてなかったです。(具志堅会長と同じ)21歳で絶対なりたいと思っていて。KOで獲ることもあまり考えてなくて、ユースをKOで獲って東洋あたりから世界も全部KOで獲ろうと思いました」

 長谷川「東洋をちゃんとやってるもんね」

 具志堅「韓国で4回戦もやっているよ」

 -海外での試合はそういう育成方針か。

 具志堅「こっち(東京)の人なら海外へ持っていかないよ。沖縄は米軍基地の周りで生活しているから、海外行ってもなんとも思わない。江藤光喜(元WBA世界フライ級暫定王者=日本非公認)もタイ、平仲明信(元WBA世界スーパーライト級王者)もメキシコで獲ったし、緊張感はないと思うよ。海外の方が燃えるんだ、沖縄の人は」

 長谷川「海外で試合したい?」

 比嘉「海外でしたいです。日本の方が緊張します。知っている人がいるので、海外は知らない人しかいないので、楽ですね」

 以下、(2)に続く。

  ◇  ◇

 具志堅用高(ぐしけん・ようこう)1955年6月26日、沖縄県石垣市出身。興南高でボクシングを始め、インターハイ優勝。卒業後、協栄入りし、74年5月プロデビュー。76年10月に当時国内最速のプロ9戦目でファン・グスマン(ドミニカ共和国)に7回KO勝ちし、WBA世界ライトフライ級王座を獲得した。13連続防衛の日本記録を樹立。王座を陥落した81年3月の試合を最後に引退した。戦績は24戦23勝(15KO)1敗。15年に国際ボクシング殿堂入り。白井・具志堅スポーツジム会長。

 比嘉大吾(ひが・だいご)1995年8月9日、沖縄県浦添市出身。宮古工高でボクシングを始める。3年時に具志堅会長からスカウトされプロ入り。2014年6月デビュー。15年7月に敵地・タイで行われたWBC世界ユースフライ級王座決定戦に7回KO勝ちし2度防衛した。16年7月に東洋太平洋フライ級王座を獲得し1度防衛。今年5月20日にファン・エルナンデス(メキシコ)を6回TKOで破って現王座についた。身長160.5センチ。右ファイター。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

対談最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス