【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】「挑戦した人生」と「挑戦しなかった人生」の比較
にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。
【相談】 社会人3年目です。昔から映画監督になるのが夢でしたが、現実的なことを考えて就職しました。映画の道に未練もありますが、ありがたいことに今の仕事では周囲の評価も高く、最近では「今の仕事の方が向いている」と感じております。それでも、映画祭のニュースや若い映画監督の活躍を見るたびに、「挑戦していたらどうなっていただろう」と考えてしまいます。「向いている仕事で生きていく人生」と、「向いているか分からなくてもやりたい仕事に挑戦する人生」。どちらを優先すべきでしょうか?西村社長にアドバイスをいただきたいです。
【回答】 文章を読んでいて、とても真面目に人生と向き合っている方なのだなと感じました。社会人3年目。仕事にも慣れ周囲から評価もされている。一方で、昔から抱いていた映画監督という夢も心の中に残っている。その葛藤は決して珍しいものではありませんが、だからこそ簡単な答えもありません。
まずお伝えしたいのは、「映画監督にならなかったから負け」でもなければ、「会社員を続けるから夢を諦めた」ということでもないということです。人はどうしても、「挑戦した人生」と「挑戦しなかった人生」を比較したくなります。特に映画祭のニュースや若い監督の活躍を見ると、「自分もあちら側にいたかもしれない」と考えてしまう。それは自然な感情です。
ただ、私が経営者として長年多くの人を見てきて思うのは、「やりたいこと」と「向いていること」が最初から一致している人は意外と少ないということです。私自身も若い頃から今の事業を明確に描いていたわけではありません。目の前の仕事に全力で向き合い、その結果として今があります。人生は後から振り返ると一本の道に見えますが、実際はその時々の選択の積み重ねです。
ご相談文の中で私が気になったのは、「今の仕事の方が向いていると感じております」という一文です。これはとても大切な感覚です。なぜなら、「向いている」というのは他人から与えられる評価ではなく、自分自身が仕事を通じて感じる手応えだからです。
一方で、映画への未練も本物なのでしょう。だから私は、二者択一で考えなくてもいいのではないかと思います。多くの人は、「会社を辞めて夢を追うか」「夢を捨てて会社員を続けるか」という極端な選択を考えます。
しかし人生はその間にもたくさんの選択肢があります。映画監督になる道は、今すぐ会社を辞めなければ閉ざされるのでしょうか。休日に脚本を書くことはできないでしょうか。短編映像を制作することはできないでしょうか。映像関係の仲間を探すことはできないでしょうか。本当にやりたいことなら、完全にゼロにはならないはずです。
私は若い人に「夢を諦めるな」と簡単には言いません。なぜなら夢だけでは生活できない現実も知っているからです。しかし同時に、「やりたい気持ちを完全に殺してしまえ」とも思いません。大切なのは、夢を捨てるかどうかではなく、自分が納得できる形で向き合えているかです。
もし60歳になったとき、「会社員として充実した人生だった」と思えるなら、それも素晴らしい人生です。一方で、「一度も映像制作に挑戦しなかったことだけが心残りだ」と思うなら、今から少しずつでも動いてみる価値はあります。
私は人生において最も後悔するのは失敗ではなく、「本当はやりたかったのに何もしなかったこと」だと思っています。幸いあなたはまだ社会人3年目です。焦って結論を出す必要はありません。今の仕事で成果を出しながら、映画への情熱も持ち続ける。その両方をやってみてください。
その過程で、映画への思いがさらに強くなるかもしれませんし、逆に仕事の面白さに気づくかもしれません。どちらになったとしても、それは自分で確かめた答えです。
「向いている仕事」と「やりたい仕事」。本当に幸せなのは、そのどちらかを選ぶことではなく、自分が納得できる人生を選ぶことなのだと思います。まだ若い今だからこそ、答えを急がず、少しずつ自分の可能性を試してみてください。その積み重ねが、将来「あのときの選択でよかった」と思える人生につながっていくはずです。
◇西村 誠司(にしむら・せいじ)1970年生まれ、愛知県出身。「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数8万2000人。
