管理職の仕事は人が力を出す環境を整えること 西村誠司氏の人生相談

 【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】

 にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。

 【相談】 54歳サラリーマンです。昨年部長になり、この一年部下との接し方に悩んでいます。私の会社は部長から管理職という立場になるのですが、これまで仲良く仕事をしてきた後輩達に急に厳しくできませんし、したくもありません。ただ、言うべきことは言わないといけないと思うのですが、言った後の関係がギクシャクしそうでなかなか言えません。きつく言えばパワハラ、逆に気を使いすぎるとホワハラだと言われる時代。西村社長は、どのあたりを重視して、社員の方々と接していますか?

 【回答】 ご相談ありがとうございます。

 部長に就任されて一年、これまで一緒に働いてきた後輩たちとの関係の中で悩まれているお気持ち、とてもよく分かります。立場が変わると、それまでの距離感や言葉の重みも変わります。仲が良かった分だけ「言うべきことを言った後の関係がどうなるか」を考えてしまうのは、ごく自然なことだと思います。

 まずお伝えしたいのは、その悩みを持っている時点で、あなたはすでに良い管理職の入り口に立っているということです。本当に危ういのは部下のことを何も考えずに強く言う人か、逆に責任を避けて何も言わない人です。あなたはそのどちらでもなく「どう伝えればいいか」を真剣に考えている。それは部下にとっても幸運なことだと思います。

 私自身、社員と接するときに一番大事にしているのは、「人としての尊重」と「役割としての責任」を分けて考えることです。人としては対等に接する。でも、会社という組織の中では、それぞれに役割があります。管理職の役割は、部下を評価し、方向を示し、必要なときには軌道修正をすることです。つまり、言うべきことを言うのは厳しさではなく、役割の一部なんです。

 多くの場合、部下が本当に嫌がるのは「厳しい指摘」ではなく「感情的な言い方」です。たとえば人格を否定されたり、皆の前で叱責(しっせき)されたりすると関係は崩れます。しかし、「この仕事のここはこう改善してほしい」と具体的に伝えることは、むしろ部下にとって必要なフィードバックです。ポイントは人ではなく仕事について話すことです。

 また、普段からコミュニケーションを取っているかどうかも大きく影響します。日頃から雑談や相談ができる関係があれば、少し厳しいことを言っても「自分を否定された」とは受け取られにくい。逆に、普段何も言わない上司が急に厳しいことを言うと、どうしても衝突が生まれやすくなります。

 もう一つ大事なのは、「全員に好かれる上司」を目指さないことです。管理職になった以上、ある程度は距離が生まれます。それは悪いことではなく組織の中では自然なことです。部下に嫌われないことを優先して何も言わないと、結果的にチーム全体が弱くなってしまいます。

 パワハラやホワハラという言葉がある時代ですが、結局のところ大切なのは「相手の成長を願って言っているかどうか」です。その姿勢が伝われば、多少厳しい言葉でも理解されることが多いものです。

 あなたはこれまで後輩たちと良い関係を築いてきたのですから、その土台はすでにあります。無理に厳しい上司になろうとする必要はありません。これまで通りの誠実さを持ちながら、「役割として必要な言葉を伝える」。そのバランスを少しずつ見つけていけばいいと思います。

 管理職の仕事は人を動かすことではなく、人が力を出せる環境を整えることです。あなたが悩みながら向き合っているその姿勢は、きっと部下にも伝わっていきます。焦らず、ご自身らしいやり方でチームを導いていってください。

 ◇西村 誠司(にしむら・せいじ)1970年生まれ、愛知県出身。「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数7万7000人。

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