【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】理不尽に負けない現場づくり-必要なカスハラ対策とは
にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。
【相談】弟がコールセンターで働いています。交通関係です。無茶な要求というか、クレームというか、言ってくる人が多いそうです。男女問わずで、世間的に高給そうな職種に就いている人が目立つそうです。今年になってずっと話題になっているあの業界の人たちとか。自分が遅刻しておいて「頻繁に使用している私を待たないとはどういうことか。社長を出せ」と。ごねて何らかの利益を得ようとするのだそうです。西村社長はカスハラ対策をどのようにされていますか。理不尽な人から社員さんを守ってあげてください。
【回答】弟さんがコールセンターで働いていらっしゃるとのこと。毎日、言葉を武器に、理不尽な言動をぶつけてくる人と向き合うのは、本当に神経をすり減らす仕事だと思います。企業の“顔”として応対する最前線の現場で、誠実に職務を果たしている方々には、私も心から敬意を抱いています。
近年では「カスタマーハラスメント」、いわゆるカスハラが社会問題になっていますよね。私の会社でも医療機関を運営している以上、患者さんや利用者さんとの接点が多く、全スタッフが常に丁寧な対応を心がけています。でもそれと同時に、「サービス提供者も一人の人間である」という前提を忘れてはならないと思っています。
クレームや要望を受け止めるのが仕事の一環であることは確かですが、それが暴言や脅し、威圧、無理な要求に変わった瞬間、それはもう“対話”ではなく“攻撃”です。私は、スタッフが一方的に我慢する構造を放置することは絶対にしません。理不尽な言動を受けたときには、毅然と対応していいと、社内でも常々伝えています。
実際、当社でも「この方との今後の対応は慎重にする」といった記録をチーム内で共有し、対応ルールを明確にしています。必要があれば、上長がすぐに代わって対応し、スタッフが一人で抱え込まないように仕組みも整えています。社員を守ることは、会社としての責任ですし、何より“守られている”という安心感がスタッフの自信ややりがいにつながると私は考えています。
それにしても、ご相談のなかにあった「社長を出せ」「頻繁に使っているのに待たせるとは何事か」といった話、耳が痛くなるような話ですが、こうした“声が大きい人ほど得をする”ような風潮は、決して社会として健全とは言えません。
私は、お客様はもちろん大切にします。でも、“全員を大切にする”ということは、働く側にも同じように敬意と保護が必要だという意味です。誰か一人が不当に怒鳴って得をするのではなく、みんなが気持ちよく関われる環境を作ることこそが、企業としての本当のサービス品質だと思っています。
弟さんにもぜひ伝えてあげてください。あなたの誠実さは、きちんと見ている人がいるし、無理にすべてを飲み込まなくていい。組織のなかで、少しでも自分が安心して働けるよう、声を上げていいのだと。
理不尽に負けない現場づくり。私も引き続き、その覚悟で経営にあたっていきます。
◇西村 誠司(にしむら・せいじ) 1970年生まれ、愛知県出身。「イモトのWiFi」「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数5万5000人。