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鷹のエガちゃん…愛されキャラだった江川智晃さん、地元伊勢で豚肉加工販売業に転身 柳田、中村晃らも応援

 2013年に自己最多12本塁打を放つなど、常勝軍団・福岡ソフトバンクホークスの一員として15年間プレーした江川智晃さん(35)。現在は故郷の三重県伊勢市に戻り、豚肉加工販売「まるとも荒木田商店」の代表だ。しかし「営業部キャプテン」という肩書で通しているのが、いかにも愛されキャラの”えがちゃん”らしいところ。スコアラーを1年で辞めて福岡を離れた経緯、業務内容、今後の夢を聞いた。

 「まるとも荒木田商店」は伊勢神宮で知られる伊勢市の樫原町に昨年6月15日にオープンした。江川さんは従業員6人の「営業部キャプテン」。バットを包丁に持ち替え、豚肉の加工やパック詰めはもちろん、軽トラのハンドルを握っての配送、さらに営業ルートの新規開拓にも力を入れている。

 「みなさんに、おいしいお肉を食べていただこうと頑張ってます。現役の頃はスーパーに行ったことなかったし、ましてや包丁なんか持ったことなかったんですけどね。でも、いまは人手が足りないので何でもやっていますよ。店頭でも対応しているときもあるのでぜひ、ご来店ください」

 開店から半年余り。仕事にも慣れ、現役時代と変わらない、あの人懐っこい笑顔を見せる江川さん。しかし、2019年引退後に球団が用意してくれたスコアラーの職を1年で辞し、第2の人生を踏み出すまでには葛藤もあったと言う。

 「福岡を離れ、野球から離れていいのか、正直悩みました。球団には長年支えてもらったし、もっと恩返ししたい気持ちも強かった。その一方で転職するなら早い方がいいかなとも思って。上司や先輩、後輩にも相談し”いいんじゃないの”と送り出してもらいましたが、福岡ロスは想像以上にあったんですよ」

 転職のきっかけはコロナ禍だった。2020年シーズンは開幕が3カ月ほどずれ込み、スコアラーとしての活動も制限される。そんな中、三重の両親を気に掛け、いままで以上に連絡を取り合っているうちに家業の現状を知り、手助けしたいと思うようになった。

 というのも、母・幸枝さんの兄・荒木田斎蔵さんが「一志ピックファーム」という養豚場を営み、販売も手掛けていた。しかし、体調を崩したため、幸枝さんが代理で代表を務め、多忙を極めていた。江川さんによると、この「まるとも荒木田商店」はグループ内の精肉販売部門を強化、発展させたもの。「まるとも」は自分の名前から一字取っている。

 「いま僕がやっていることは叔父がやりたかったこと。食を通じてみなさんに喜んでもらいたい、という思いが強い人でしたし、母の負担を軽くしたい気持ちもあった。それに食に関して僕は福岡や遠征先でおいしいものをたくさん食べていたので自信もあった」

 一志ピックファームの豚は赤身のコクが強く、臭みがなく、甘いのにさっぱりしているのが特長だ。ネット販売、地元の道の駅などでも売れ行きは好調だそう。オープンの日にはチームメートの柳田悠岐や中村晃らから大きな花輪が届き、SNSでも開店を祝って発信してくれた。

 「ギータとはこの花輪、パチンコ店みたいやん、と笑い合いました。みんなが宣伝してくれて助かってます。現役時代にレギュラーになれなかったのは自分の責任ですからね。でも、監督、コーチ、良きライバルに恵まれ、人間的に成長できたし、ゲームに出られない裏方の気持ちや痛みも分かるようになった」

 三重・宇治山田商から2004年にドラフト1位で入団。強肩強打の外野手として13年には自己最多12本塁打を放つなど通算26本塁打をマークした。「毎日、何かに追われるような日々だった」と現役時代を振り返ったが、選手層の厚い常勝軍団の一員だったことは大きな誇りだ。

 何を隠そう。こんないい男が独身。今後の抱負を聞くと「日本一の豚肉を多くの人にお届けしたい。一志ポークを三重で一番にして福岡にも進出したいですね」といつもの笑顔を見せたが、すぐに「代表としてダメな姿は見せたくない」とキリッとした表情になった。その横顔は経営者のそれだった。第2の人生では社会に役立つ真のユーティリティプレーヤーを目指す。

◇「まるとも荒木田商店」
営業時間:平日9:00~17:00、土曜日9:00~12:00 (日曜定休)

(まいどなニュース特約・山本 智行)

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