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元日本王者・中広大悟さん、作業療法士に転身「人を笑顔にすることがポリシーです」

作業療法士として忙しい日々を送る中広さん
現役時代の中広さん(左)(09年12月18日・赤穂亮との日本王座防衛戦)
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 広島のジム所属選手では史上2人となる日本王者となった元プロボクサーの中広大悟さん(37)。引退から5年、現在は医療法人「せのかわ」が経営する「よこがわ駅前クリニック」(広島市)に勤務し、体と心のリハビリテーションを行う「作業療法士」として訪問看護を行っている。

 「僕が担当するのは主に精神疾患の患者さんです。日常生活を送る上で困っていることや改善点など見つけて、よりよい生活を送れるようにアドバイスしたり、リハビリのお手伝いをさせてもらっています」

 精神疾患にも多くの症状があり、患者の年齢層も若者からお年寄りまで幅広い。1日に訪問する自宅は平均6件。「基本は対話型の治療となります。患者さんやご家族から『ありがとう』『助かったよ』と言ってもらえた時に一番やりがいを感じますね」。これまで多くの患者の社会復帰も支援してきた。

 中広さんがボクシングを始めたのは広経大入学後。大学2年の時にプロデビューし、08年には日本スーパーフライ級王座を獲得、3度の防衛にも成功した。所属は広島三栄ジム。東京や大阪など都会のジムと違って地方ジムは練習環境やマッチメークなどでハンディが多いが、そんなマイナス面も乗り越えて結果を残し続けた。

 プロボクサーを続けながら大学院に進み、卒業後はボクシング活動に対して理解のある「瀬野川病院」に職員として就職。「多くの患者さんがいつも『頑張れ!』と声をかけてくれて、試合会場にも足を運んでくれました。本当なら僕が元気を与えないといけない立場なのに…。次は僕が患者さんの力になる番だと思ったんです」。国家資格である作業療法士になることを決意し、現役を続けながら専門学校に通学。14年に現役引退し、その1年後に資格を得た。

 「ボクシングでは日本チャンピオンにもなれましたが、たくさんの失敗もしました。普通の人にはできないような経験をしてきたと思うので、そういう経験を生かして、僕にしかできない訪問看護をやっていきたいと思っているんです」

 現在は子供の発達障害に関する勉強にも取り組んでおり、これからも仕事の領域をどんどん広げていきたいと考えている。「自分のやりたいことをやれているので、毎日が充実していて楽しい。もっともっと自分というもの出して頑張っていけば、また違った世界が見られるんじゃないかと思っています」。

 ボクサー時代に受けた、多くの応援に対する恩返し、そして尽きることのない向上心が原動力になっている。「笑顔は人を幸せにする力がある。多くの人を笑顔にすることが僕の一番のポリシーでもあるんです」。13年間のボクサー人生を悔いなく完全燃焼した元日本王者は、人生の第2ステージでも全力で走り続けている。(デイリースポーツ・工藤直樹)

 ◆中広大悟(なかひろ・だいご)1981年8月21日生まれ。広島県三次市出身。広島皆実高時代はサッカー部で3年時のインターハイで全国優勝。広経大進学後、広島三栄ジムに入門し、ボクシングを始める。01年にプロテストに合格し同年デビュー。06年にWBC世界フライ級王座に挑戦したが判定負け。08年に日本スーパーフライ級王者となり3度防衛。14年4月に引退。通算30戦24勝(10KO)4敗2分。広経大大学院卒。広島市在住。

 ◆作業療法士 入浴や食事など日常生活すべてを「作業」ととらえ、そこに問題を抱えている人に対し、体と心のリハビリテーションを行う専門家。精神疾患の患者も対象としているところが理学療法士とは大きく異なる。

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