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元G戦士メークドラマを支えた左腕 いまは玉ねぎ作りの名人だった

河野博文
河野博文
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 時の流れを感じた。まさかあのげんちゃんが、野球以外で一等賞になるなんて…。人の世は分からないなぁ。

 「ピッチャー、げんちゃん」

 ピッチャー交代の際に、ミスターこと巨人の長嶋茂雄終身名誉監督が発した甲高いコールを覚えているだろうか?げんちゃんのニックネームで親しまれたのは、日本ハム、巨人、ロッテで活躍した河野博文氏である。1996年メークドラマといわれた巨人の大逆転優勝を支えた左腕リリーバー。そのげんちゃんと久しぶりに会った。

 彼とは1991年に日本ハムの担当記者になって以来の腐れ縁である。引退直後には、二人で伊豆大島に野球教室に行ったこともある。そのげんちゃんに会うため、新幹線に飛び乗った。目的地は群馬県高崎。JR高崎駅西口のローターで出迎えてくれた彼は、当たり前だが、昔より老けていた。だが「今年で55歳ですからね」と屈託なく笑う姿は、昔のままだった。

 ベースボール・チャレンジ・リーグ「群馬ダイヤモンドペガサス」のコーチとして、群馬に住み着いて、もう10年にもなろうとしている。その10年はまさに激動の時代だった。愛妻・広子さんを41歳で亡くしたこともあり、コーチを辞めた後も単身群馬に残り、知人の勧めもあり「無農薬で安心・安全な食品を作ろう」と玉ねぎ作りを始めた。ひたすら汗を流して、土と向き合った。そのおかげで、当初は50トンだった玉ねぎの収穫高が200トンを超えるまでになり、今は約1万5千坪の畑で玉ねぎを作るまでになった。

 今、無農薬の玉ねぎや玉ねぎを使った「げんちゃん餃子」は群馬県内のスーパー「とりせん」や「イトーヨーカー堂 食品館」で取り扱われ、県内の「道の駅 おおた」に置かれることもある。長嶋茂雄終身名誉監督からも時折、注文が入るという。げんちゃん玉ねぎを使った、刻みレモンと五穀酢のさっぱり甘酢玉ねぎ「げんちゃん玉ねぎ レモン」が、「第65回県特産品展示販売会」の審査で最高賞の「農林水産大臣賞」を獲得したのは2016年10月1日のことである。

 2015年8月8日には、収穫した玉ねぎを使ったメニューを提供する「げんちゃん農場直営 居酒屋 大喜屋 げんちゃん」を開店した。また、その傍ら、アスリートたちを支援する「一般社団法人 ゲン スポーツプロモーション」の代表理事としても活躍している。ロッテ時代の同僚だった谷口弘典高崎経済大学野球部監督(43)のツテもあり、週に一度は、知り合いのバッティングセンターで野球の指導もしている。まさに高崎での生活は目の回るような忙しさだ。

 「まだまだこれからですよ」。そう言って渡された、お土産のげんちゃん玉ねぎは、これまで食べたどの玉ねぎよりうまかった。(デイリースポーツ・今野良彦)

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