がんと闘う可能性を秘めた薬「イベルメクチン」→ノーベル賞受賞大村智博士が発見した寄生虫駆除薬→副作用もなく経口薬として使える

 東京で開業する親友の先生が教えてくれた話の受け売りです。がん治療と聞くと、手術・抗がん剤・放射線治療という「三本柱」を思い浮かべるかもしれません。しかし、近年、それ以外にも「思わぬ薬」が、がん細胞に効果を示すのではないかと注目されています。その一つが疥癬(かいせん)症の治療薬として日本でも保険適応を受けている「イベルメクチン(商品名:ストロメクトール)」です。もちろん賛否両論はありますが、私は賛成派です。

 イベルメクチンは、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智博士が発見した寄生虫駆除薬です。この薬は、熱帯地域で失明の原因となるオンコセルカ症など、多くの寄生虫感染症の治療に用いられ、世界中で数億人以上の人々を救ってきました。もともと寄生虫やダニなどに使われてきた安全性の高い薬です。この薬が、がん細胞にも作用するという研究結果が世界中で報告されています。

 抗寄生虫薬であるイベルメクチンがなぜ、がんに効くのでしょうか。最新の研究ではイベルメクチンが、がん細胞の分裂のしくみやエネルギー代謝に影響を与えたり、免疫細胞の働きを活性化させたり、がん細胞の成長を抑制し、特に「がん幹細胞」に対して効果を発揮することがわかってきました。特に乳がん、大腸がん、肺がん、前立腺がんなどでその有効性が示唆されています。

 私はがん治療の現場に立つ医師として、この薬のがんに対する力を確信しています。副作用もなく、経口薬として使えるため、患者さんの負担も少ない反面、万能薬とまでは言えません。どんながんにも必ず効くわけではないですし、まだ充分な臨床試験も進んでいはいません。しかし私は、イベルメクチンによるがん治療に、明るい可能性を感じています。

 参考:「イベルメクチン 世界の臨床医の証言」:ポール・マリク

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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