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【谷光利昭医師】高齢者の肺炎には呼吸器症状がまったくない肺炎も

 高齢化社会に伴い、肺炎の重症化による死亡率はさらに深刻な問題となることが懸念されます。死因別死亡率では、悪性新生物、心疾患、脳血管障害に次いで4番目と高い位置にあります。

 肺炎には、一般的な検査で検出される細菌感染からなる定型肺炎、一般的な検査で検出されない微生物の感染でなる非定型肺炎、誤嚥からなる誤嚥性肺炎があります。

 定型肺炎の原因菌で有名なものは、肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などです。非定型肺炎の原因は、マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラなどが知られています。

 症状は発熱、悪寒、咳嗽(がいそう)、膿性痰などが挙げられますが、高齢者の場合は典型的でないものがあり注意が必要です。例えば、発熱や咳嗽がなかった場合です。発熱、全身倦怠感、食欲減退だけで、呼吸器症状がまったくない肺炎も高齢者には、よくあります。

 胸やあばら骨、腹が痛いなど、痛みだけがある重症の肺炎、胸膜炎の患者さんもいます。肺炎の診断が出れば、その起因菌に応じた抗生剤が投与されますが、最近は抗生剤が効きにくい細菌が問題となり高齢者や免疫不全の患者さんには大きな問題となっています。

 誤嚥性肺炎は、寝たきりや脳卒中後、さらに神経疾患の患者さんに起こりやすい肺炎です。通常なら嚥下反射、咳嗽反射で誤嚥は防がれますが、それらの患者さんは反射が低下しているため、就寝中や日中の座っている時でも唾液や逆流してきた胃液などを誤嚥して肺炎を起こしてしまうのです。

 ただ、ベッドの挙上、口腔内ケア、嚥下訓練などにより、リスクの軽減は図ることは可能です。うがい、手洗いを日常から心がけることも大事です。また、高齢の方は、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチンの併用で肺炎の発症率、死亡率が低下するとされています。

 ◆筆者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)たにみつ内科院長。93年大阪医科大卒、外科医として三井記念病院、栃木県立がんセンターなどで勤務。06年に兵庫県伊丹市で「たにみつ内科」を開院。地域のホームドクターとして奮闘中。

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