【中塚美智子医師】歯磨きの際、シャカシャカと音を立てていませんか?

 先日テレビ番組に出演していた某女性タレント。「歯にはものすごく気を使っている」という彼女は、「シャカシャカ」と力強い音を立てて歯を磨いていました。その後汚れを染め出すと、歯と歯茎の境目を中心に磨き残しがたくさん。なぜこのようなことになったのでしょうか。

 歯ブラシを大きく、速く動かしてしまうと、前述の歯と歯茎の境目や歯と歯の間など、当たってほしいところに歯ブラシの毛先がしっかり当たりません。そこに力強さも加わると、毛先が歯に押し付けられるため、やはり毛先が汚れの部分に当たらず、清掃が難しくなります。また場合によっては歯や歯茎を傷つけ、汚れもつきやすくなります。

 歯ブラシで落とせる汚れは軟らかいので、毛先がしっかり当たれば落ちます。複雑な形をしている歯に歯ブラシを当てるのは結構難しく、時間もかかりますが、歯を「一本ずつ磨く」と意識すると歯ブラシの動きが小さくなり、余計な力も入りにくくなります。

 歯ブラシを小さく細かく動かそうと思うと、グーで握るよりペングリップの方が断然操作しやすいです。歯ブラシの先端や角の部分も使い、歯の裏側の汚れも落としていきましょう。歯磨きの後舌の先で歯の表面に触れ、何かざらざらしているなと感じるところはまだ汚れが残っています。その部に再度歯ブラシを当て、ツルっとするのを確認してください。

 歯と歯の間に使う歯間ブラシやデンタルフロスは、歯ブラシだけではなかなか清掃できない歯と歯茎の境目や歯と歯の間を清掃するのに効果的です。しかし、その部の歯茎は刺激に強い構造にはなっていません。ゴシゴシすると傷がつき、逆に口の中の細菌が傷口から入りやすい状態を作ってしまいます。これでは何のために歯ブラシやデンタルフロスを使ったのかわかりませんね。汚れがついたら落とし、次の場所に移りましょう。

 ところで口臭を気にして舌も磨いています、という方。強く磨くと舌の表面を傷め、傷口から雑菌が侵入してしまうことがあります。舌ブラシなど舌に用いる清掃器具を用い、磨くというより優しくなでるような感じで行うといいですね。ブラシタイプやヘラタイプなどがあり、薬局でも手軽に購入できますよ。

 来月4日から歯と口の健康週間が始まります。これを機に、一度ご自身の口腔ケアを見直してみませんか。

 ◆中塚美智子 大阪歯科大学医療保健学部准教授。歯科医師、労働衛生コンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士。

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