【松本浩彦医師】外傷治療には「RICE」受傷直後の処置が大事

 スポーツの秋です。当院は整形外科も標榜(ひょうぼう)していますが、秋になると明らかに外傷の患者さんが増加します。ギプスの使用量が増えることで医者は秋を感じるのです。で、今回は外傷について。

 外傷治療の基本は「安静」です。とくに初期治療はとても大切で、患部を冷却しつつ安静に保つことが最重要です。レントゲンで骨折がないと言うと患者さんは、良かったぁ、と安心しますが、実はそうではありません。

 骨折があれば否応なしにギプスを巻くので患部の安静は保たれますが、捻挫の場合は少々痛みがあっても患者さんはギプスを嫌がり、時に無理をします。このため捻挫は骨折より治るのに時間がかかることが多いのです。捻挫はストレッチや柔軟体操で予防できますので、準備運動だけは充分に行ってください。

 さて、打撲にせよ捻挫にせよ、外傷の治療は受傷直後の処置が、その後の治療経過を大きく左右します。外傷後72時間は「安静(Rest)」を保って氷や保冷剤などで「冷やす(Icing)」。そしてしっかりテーピングして傷口を「圧迫(Compression)」する。これは外傷後の内出血やリンパ液による浮腫を防ぐためです。さらに、ケガをした部位を心臓より高く挙げておく「挙上(Elevation)」によって、痛みや出血を最小限に抑えることができます。

 スポーツ医学ではこれら4つの頭文字をとって「RICE」と呼んでおり、外傷治療の基本中の基本です。皆さんも覚えておいてください。よく、ケガした時は冷やせばいいのか温めれば良いのか、と質問されますが、「受傷後72時間はまず冷やし、その後は温める」ということを覚えておけば、この先もう迷う必要はありませんね。

 ◆筆者プロフィール 松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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