【櫻井直樹医師】水虫治療は専門医受診が近道 診断確定前の市販薬使用に注意を

 【Q】足の指の間がむずがゆく、皮むけしています。水虫でしょうか?(50代、男性)

 【A】実はお困りの症状のようになる病気には、水虫(足白癬、あしはくせん)だけでなく、汗疱(かんぽう、足の湿疹の一種)、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、紅色陰癬(こうしょくいんせん)等があり、これらを鑑別しておく必要があります。

 掌蹠膿疱症はその特徴的な臨床像、紅色陰癬はウッド灯検査により診断は比較的容易ですが、水虫は特に汗疱とは臨床的に見分けがつきにくいことが多く、また、これら3疾患と合併することもしばしばあり、適切な検査によって診断をつける必要があります。

 それでは水虫の診断はどのようにつけるのか?診断方法は、顕微鏡検査、すなわち、落屑(らくせつ、むけている皮膚)や水疱を採取して顕微鏡でみて、白癬菌(はくせんきん)が存在するかどうかによって診断します。白癬菌が存在すれば水虫の診断は確定しますが、1回で見つからない時もあるので、その場合は暫定的に汗疱と診断し、ステロイド外用剤を使用して2週間程度してから再検査し、ここで白癬菌が検出できれば水虫の診断に至り、やはり検出できなければ汗疱として治療を継続する、というプロセスを経ます。

 〈トピックスとして、糸状菌検出試験紙が近々実用化される予定ですが、爪白癬(つめはくせん)の診断に特に有用で、足白癬の診断にはやはり顕微鏡検査が優位であるようです。死菌にも反応してしまうという欠点もあります〉

 ここで、自己判断で市販の水虫薬を外用してしまっていると、白癬菌が減少してしまい顕微鏡検査による検出が困難となることは想像に難くありません。

 以上の理由で、水虫の診断が確定する前に自己判断で市販の水虫薬を外用開始するのは控えるべきです。また、市販薬は抗真菌薬成分だけでなく、局所麻酔外用薬・止痒薬(しようやく)等が配合されており、これによるかぶれも多く経験します。

 そのため、水虫かと思ったら、まずは皮膚科専門医を受診し、顕微鏡検査を受け、診断を確定するのが、最終的には近道、ということになります。

 ◆櫻井直樹(さくらい・なおき)02年、東大医学部卒。東大付属病院、関連病院に勤務後、美容外科クリニック勤務を経て千葉県松戸市にシャルムクリニック開設、他院皮膚科顧問も歴任。皮膚科専門医、レーザー専門医。

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