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溶連菌の軽視は禁物!もう一つの顔に“人食いバクテリア”も 薬は必ず飲み切ること

 年末ギリギリまで診察にあたる医師も多いです
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 「町医者の独り言・第26回」

 寒い季節になり、風邪の患者さんが外来にも増えてきました。最近は、私のいる伊丹市でも、インフルエンザが流行し始めてきました。ともに注意しないといけないのが、溶連菌です。

 溶連菌、正式名称はA群β溶血性連鎖球菌といいます。診断は、簡単できます。迅速診断キットを用いて、咽頭部のぬぐい液を採取すれば、10分以内に診断がつきます。インフルエンザの検査のように、鼻から管を挿入される苦しい検査ではありませんので、ご安心ください。診断がつけば、10日間の抗生剤を飲み切ることが肝要です。

 子供さんだけが罹患(りかん)することが多いと思われていますが、大人もこの病気にかかることがあります。多くの場合、感染後、2日から5日を経て発症します。一般的にみられるのが、急性扁とう炎の症状ですが、その他に頸部、腋窩部、鼠径部の紅斑様発疹から始まり、全身の皮膚が発赤する猩紅熱という幼児、学童の病気や、顔面の皮膚に感染して真っ赤になる丹毒という病気も比較的有名です。

 早期に診断をして、抗生剤を投与すれば治癒はほぼ確実ですが、症状が消失したらからといって内服を途中でやめてしまうと、保菌者になったり、再燃することがあります。また、怖いのは続発症である急性糸球体腎炎やリウマチ熱です。糸球体腎炎は、感染後1~3週間で発症し、尿量の減少、血尿、たんぱく尿、高血圧、浮腫などの症状を認めます。

 リウマチ熱は、感染後2週間から4週間で発症し、発熱、関節痛、心炎、舞踏病、輪状紅斑などの症状を呈します。罹患後、数十年で心臓の弁の異常を来すことがあります。心臓の弁は、心臓から全身に血液を送り出す時に、血液が逆流しないようにする働きがあります。その弁が硬くなり、本来とは逆の方向に血液が流れたり、流出路の狭小化により流れにくくなります。最近は、抗生剤の的確な使用から、上記の心臓の弁疾患の原因として、リウマチ熱は減少しているようです。

 溶連菌のもう一つの顔としては“人食いバクテリア”が有名です。細菌が急激に全身にまわり、筋肉や脂肪などを腐らせてしまうために、その異名がついています。人食いバクテリアの正体は我々が日常でよく遭遇する溶連菌が正体だったのです。

 そう考えると、抗生剤を正確に飲もうと思いますよね。溶連菌といって軽く考えると、怖い合併症があることをご理解いただき、抗生剤の内服はきちんと飲み切るようにお願いしたいです。

 ◆筆者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)たにみつ内科院長。93年大阪医科大卒、外科医として三井記念病院、栃木県立がんセンターなどで勤務。06年に兵庫県伊丹市で「たにみつ内科」を開院。地域のホームドクターとして奮闘中。

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