沖縄尚学・末吉良丞と横浜・織田翔希の熱い抱擁に、男の友情を感じた。
男の友情だ。試合後に横浜・織田翔希(3年)と抱き合って互いの健闘をたたえ合った沖縄尚学・末吉良丞投手(3年)だ。
10日の第2試合の試合後だった。整列を終えた沖縄尚学・末吉は、横浜・織田に歩み寄り、大きな体に両手を回して熱い抱擁をかわした。一塁カメラ席からレンズを向けていた私は、勝敗を超えた“友情”を感じた。
昨年の夏に頂点に立った150キロ左腕の沖縄尚学の末吉と1年生から怪物と呼ばれた最速157キロ右腕の横浜・織田が、いきなり1回戦で対決することになったこの日の試合。高校野球ビッグ3と呼ばれた二人は、大きなプレッシャーと期待を背負っていただろう。ビッグ3の一人だった山梨学院・菰田陽生(3年)は、山梨大会の準決勝で帝京三に延長10回タイブレークの末に敗れ、4季連続の甲子園出場を逃した。これで期待と注目がさらに二人に集中したと言って過言ではない。超満員のスタンド、ネット裏には、大勢の日米のスカウトが集結した。試合前に甲子園周辺を歩いてみたが、飲食店ばかりかコンビニエンスストアも長蛇の列で、ここ数日と比べても異常なフィーバーぶりだった。
初回は無失点に抑えたものの、2回以降に崩れ3回6安打3失点の末吉は、本来の調子を取り戻せないままマウンドを降りた。一方の織田は最速154キロのストレートを記録し9回2死まで12奪三振の快投だった。明暗はくっきり分かれたが、試合後は高校野球を引っ張った戦友としての思いが、沖縄尚学の末吉の表情にあふれていた。
全国の球児たちの憧れの舞台。超満員のスタンドに囲まれた、灼熱のマウンドで投げ合った二人。多くの野球少年が、二人の投げ合いと熱い抱擁にロマンを感じたにちがいない。夢見る少年はいつの時代も過酷な世界を希求する。生きていることを、生命の躍動を実感するために。唯一無二の戦友との“想い出”を作るために。(デイリースポーツ・開出牧)
