ファンに愛される指揮官-楽天・吉井理人監督
ファンに愛されている。楽天・吉井理人監督(61)だ。
21日の対ロッテ(ZOZOマリンスタジアム)の試合前のこと。メンバー表の交換を終えてベンチに戻る際に、背番号81は笑顔でスタンドに手を振った。視線の先にはロッテのユニホームを着たファンがうれしそうに手を振っている。楽天の監督になっても、ロッテファンから愛されている。
前日、試合前に行われるメンバー表交換に現れた時も、ヤジ一つ飛ばなかった。昨シーズンまでロッテのユニホームを着ていた監督が、デザインの違う敵のユニホームを着ていることに戸惑いや複雑な思いもあるだろうが、スタンドからは歓声にも似たどよめきが上がった。私もファインダー越しに不屈のチャレンジ精神を感じ、感動を覚えた。
試合では投手交代の際に、ロッテ時代と変わらず、自らマウンドまで行き、降板する投手に声をかけた指揮官。目先の結果よりも、プロセスを大切にするという、変わらぬ姿勢を感じた。この日は浅村の左越え2点適時二塁打で一時は同点に追いついたが、中継ぎ投手陣が踏ん張れず、勝ち越しを許し連敗。しかし、ベンチでは表情を変えることなく戦況を見守る姿があった。就任後すぐにユニホームに袖を通し、チームを把握する間もなく指揮を執っている。チームは5連敗。今季ワーストの借金19で最下位を独走。前途には、いばらの道が広がっている。
しかし、ドラマは始まったばかりだ。古巣のファンから愛され続けているのは、選手に愛情をもって接していたからだろう。プロセスを大切にする指揮官が、最下位に沈むチームをどうやって立て直してゆくのか。じっくり腰を据えて、2013年以来の“感動”を、被災地の東北に届けてほしい。(デイリースポーツ・開出牧)
