【野球】阪神を支えるスポーツ栄養のプロって? 金本超変革時代に招へいの専属栄養アドバイザー吉谷佳代さんに聞く

 阪神の栄養アドバイザーを務める吉谷佳代さん
 選手が利用する虎風荘の食堂(撮影・立川洋一郎)
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 プロ野球選手のコンディショニングには欠かせない食事。阪神は吉谷佳代さんが、専属栄養アドバイザーとして、10年以上にわたりチームを支えている。ところでスポーツ栄養のプロの仕事って?長いシーズンを戦う選手にとって大事になるポイントや、印象深い選手などと合わせて語ってくれた。

  ◇  ◇

 吉谷さんが阪神に携わるようになったのは、2015年のこと。当時就任したばかりの金本知憲監督が「体作りの強化」を打ち出し、食事面の改善にも着目したことで、共通の知人を介し、就任要請があった。

 学生時代は陸上をやっていた吉谷さん。自身が競技をやる中で貧血に悩まされたことや、母が栄養士だったこともあり、スポーツ栄養の道に進んでいた。

 主な仕事は、強化指定選手(若手中心)の栄養指導と寮、遠征先での食事の献立の監修。「スポーツ選手なので、疲労がたまらないように。体作りのために、お米をしっかり食べられるようなおかずにこだわっています」。疲労回復のためにも、ビタミンが豊富な緑黄色野菜が重要だと話す。ご飯に合う豚キムチや牛丼は定番で、胃腸に優しい鍋や煮込み系のメニューも多く取り入れている。

 季節ごとにも変化はある。2月のキャンプ中は約1カ月のホテル生活。「飽きが来ないように」とバリエーションを増やす。食欲が落ちる夏場については、食べやすいようなサッパリ系のメニューを増やすなど、工夫を凝らしている。

 普段から食堂で選手たちとはコミュニケーションを取り、状態を把握している。その中でも意識の高さを感じるというのが才木だ。高卒で入団してきた時から、よく質問してくる選手だった。右肘の手術も経験した右腕だが「それ(ケガ)を通しての予防策とか、(患部の)炎症を抑えるために、どう食事をとろうとか、よく考える選手だった」と振り返る。

 ケガを克服し、元気に投げる今でも、意識は変わらない。「登板3日前くらいから食事量を決めている」という。ベストコンディションで臨むため、惜しみない準備をしていると明かした。

 吉谷さんは就任当時と比べ、近年は若手選手の変化にも驚かされているという。「最近はアマチュア時代に、栄養指導を受けている選手も多い。一から話さないといけないことが少なく、レベルの高い話ができています」。スポーツ栄養を学生時代から学ぶことで、意識が高くプロに入ってくる選手が増えているようだ。

 さらには「ヘルシー志向になってるんです」と人気メニューにも変化がある。「鶏肉と野菜のせいろ蒸し」と、ガッツリ系ではない一品が選手には好評のようだ。

 長年課題になっているのが、朝食だ。食べることで代謝のスイッチになる。体温を上げることや、筋肉の合成促進の効果もあり、アスリートとしては欠かせない部分だ。ただ、朝が苦手な選手はいる。そこは強制するわけではないが「学生じゃなくてプロなので。できなければ何をするのかカード(他の手段)は渡します」。やるかやらないかは自分次第。朝食の重要性は伝え続ける。

 吉谷さんにとって、この仕事のやりがいは、選手がベストコンディションで結果を出すこと。それに加え「心の栄養を大事にしています。食堂には、打って喜んでいる選手もいれば、落ち込んでいる選手もいる。そんな中でもホッとする場所になってほしい。マインドセットできたらいいなと思っています」と、心安らぐ場所の提供を心がける。栄養と愛情たっぷりの食事で、これからも選手の心と体を支え続ける。(デイリースポーツ・滋野航太)

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