【スポーツ】なぜ?飛び込みで水しぶきが立たない秘密とは ノースプラッシュは国内トップ級の高等技術 入水時の手の組み方
高さ10メートルに設置された台からプールにジャンプし、技の美しさを競う飛び込み競技。宙返りやひねりの伴うダイナミックな技をしても、なぜ水しぶきがほとんど上がらないのか。その秘密を明かす。
飛び込み競技を見る上で、よく出てくる単語がノースプラッシュ。水しぶきがほとんど立たない美しい入水のことで、聞いたことがある人もいるのではないだろうか。テレビで放送される国際大会では、選手たちは当たり前のようにノースプラッシュをしているが、決して簡単なものではない。国内に目を向けると、男女それぞれトップ10人ほどしかできる人はいない高等技術だ。
なぜ、あの高さから飛び込んで水しぶきがほとんど立たないのか。秘密は、入水時の手の組み方にある。多くの人は、両方の手のひらを合わせてやりのように入水する姿を想像すると思うが、実は違う。片方の手の甲を、もう片方の手で上から握り込み、手首を返し、手のひらと水面が衝突するような形で入水している。
さらに、ここからが重要。水と手が当たるインパクトの瞬間、素早く両手を開いて水をかき分けるように入水している。手で水面を切り裂き、そのできた水の隙間に体を滑り込ませるイメージだ。そのタイミングがかみ合うと、水しぶきが全く立たない入水ができる。世間ではノースプラッシュと表現するが、選手らの間では手の動きそのままに「水が切れた」と表現している。
練習方法は反復のみ。宙返りやひねりを行わずに、入水の瞬間だけを繰り返す練習を丸1日し続けることも多い。どれだけ才能があふれる選手でも、この技術だけはすぐに身につかないため、パリ五輪の男子高飛び込みで銀メダルを獲得した玉井陸斗や、日本女子代表の三上紗也可や金戸凜なども必ずこの練習を行ってきている。
演技時間1・8秒と言われる飛び込み競技で、入水の瞬間を考えている暇はない。幼少期から反復練習を繰り返し、無意識で手と水が当たる瞬間“水を切る”動作を身につけられた選手だけが、現在の代表クラスとして生き残ることができている。
3月22日まで行われた翼ジャパン・カップで、愛知・名古屋アジア大会(9~10月)の日本代表が決定。玉井や金戸などメダル候補が名を連ねた。自国開催の国際大会で、会場は東京アクアティクスセンター。選手たちが見せる“水が切れる”演技をぜひ生で見てほしい。(デイリースポーツ・谷凌弥)
