【野球】日本ハム・達がビッグマウス貫く理由 「自分を洗脳する」「繊細な心を大きな言葉でカバー」 本人に直撃

 今季プロ初完封を含む8勝を挙げて飛躍を遂げた日本ハム・達孝太投手(21)。新人王候補の高卒4年目右腕は、堂々とした物言いでも異彩を放つ。新庄剛志監督(53)も楽しみにする“ビッグマウス”を貫くのはなぜなのか。次世代のエースを直撃した。

 シーズンで8勝を挙げ、CSファイナルSで先発した2試合も好投。達は自らの言葉に見合う結果を残した。奔放な物言いを新庄監督や同僚ら多くの人が楽しみしていることには「意外と多いですねぇ」と笑った。

 好投して勝利しても「こんなもんじゃないってところを見せたい」と言い、交代を告げられた場面を振り返れば「代えるんか!?って思いながら」とストレートに心境を表現。9月初めには、前回登板時の新庄監督のコメントに「6回2失点でボスが『よくやった』みたいに言ってたんで、なめてんのかと思いましたけどね(笑)」と、語った反応が話題となった。

 ちょっとした発言がすぐに炎上する時代。それでも「嫌じゃないですか、思っているように言えないのって」と迷いはない。子供の頃から思ったことは言う性分。ドラフト候補となった高校時代、そして自身の言葉に影響力が生じるプロになっても、それは変わらなかった。「野球選手はこう言わないといけない、みたいな雰囲気が嫌なので」と、自分を曲げることはしない。

 貫いてきた“ビッグマウス”。背景には「思っていれば、そうなりそうだっていうのはある。試合前とか、もう抑えたもんだと思ってしゃべっている。自分を洗脳しているみたいなイメージが近い」という自己暗示がある。言葉の力、思い描く力を信じて実現につなげる。「小学校6年生の時の文集に『ドラフト1位でプロ野球の世界に入る』って書いたんですよ。だんだん、なんかそうなれるんだと思っていたら、その通りにいった自分がいた」と、成功体験も信念を強くした。

 強気なだけではない。自分の弱さも素直に認める。なかなか白星がつかなかった時期には、眠ると打たれる夢を見ると告白した。「繊細な心を大きな言葉でカバーするんです」と冗談めかした発言には、本心が混じっている響きがあった。

 CSファイナルSの前日会見で、新庄監督は「大口、聞きたいよね。オラオラ見せてるだけじゃないの?内心は弱い気持ちを持っているかも」と笑っていた。同席した松本剛は「でも、やっぱり自分を持っている。若いけど、誰に流されるわけもなく、自分のルーティンを淡々と常にやっている姿を見ている」と認めていた。だから多少の大口も好意的に受け止められるのだろう。

 礼を失しているわけではない。取材にも明るく丁寧に応じる21歳。己を貫き、自ら発した言葉を実現していく姿には、未来のエースになる資質が十分に備わっている。(デイリースポーツ日本ハム担当・藤田昌央)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス