【野球】7回制のメリットとデメリットは? 改革進む高校野球 国スポで体験した8校の監督、選手が語ったこと
9月29日から行われた滋賀国民スポーツ大会の硬式野球の部において、高校野球国内主要大会で初めて7イニング制が導入された。今夏甲子園に出場した8校が試合を行って違いを実感。監督、選手たちが語った7イニング制のメリット、デメリットに迫った。
試合を終えた選手、監督からは7イニング制についてさまざまな意見が発せられた。来春センバツからDH制導入が決定するなど、改革が進む高校野球界において最も注目が集まるのが7イニング制の導入について。今年の国民スポーツ大会で試験的に実施された中で場内の高校野球ファンは従来通り一投一打に沸き、盛り上がりを見せた。
2イニング減少することにより、各監督は攻撃においては先手必勝が重要になると推測した。1試合に回ってくる打席数は1~3番が最低3回、以降は2回。となれば、好打者に多くの打席を回すために上位に座らせる采配が定番化しそうだ。
優勝した山梨学院は4-0で勝利した1回戦・尽誠学園戦で強打者の菰田陽生内野手(2年)を2番に起用。吉田洸二監督(56)は「確率よくいいバッターを上に並べていく」と意図を明かした。仙台育英・須江航監督(42)は「前半の攻撃が布石となって後半に扉が開いていくみたいな感じが、扉が開く前に終わってしまう」と、より早く相手を攻略することが勝利の鍵を握ることを強調した。
守備面では投手に好影響がもたらされそうだ。初戦の日大三戦を7回6安打で完封した仙台育英の今秋ドラフト候補・吉川陽大投手(3年)は「(7回制は)4回と3回で分けられる。4回までちゃんと投げ切ろうと。集中力を保てる」と好感触を示した。今夏甲子園Vの沖縄尚学・比嘉公也監督(44)は「7回制になれば県立高とかは(好投手が)1枚いれば怖さが出てくる。面白くなるのではないか」とコメントした。
一方、ペース配分が容易になることで投手が出力を上げやすくなり、1試合の球数は減っても肩肘の負担が増す可能性もある。また、先制点を与えたくない心理からエースに連投を強いる場面も多くなるかもしれない。県岐阜商・藤井潤作監督(53)は「エース以外の他のピッチャーを育てようとなったときに勇気がいる」と監督目線の意見を口にした。
今大会は計7試合が行われ、試合時間は平均1時間41分だった。初日の1試合目は午前8時30分開始予定が降雨の影響で1時間遅れたが、午後6時ごろには4試合を消化。雨への強さが証明された一幕もあった。日本高野連・井本事務局長は「今後どうしていくかという材料の一つにしたい。選手が安心安全に好きな野球に打ち込めるようにどう考えていくか」と話した。夏の酷暑問題など取り巻く環境が日々変わりつつある高校野球。日本高野連の決断に注目が集まる。(デイリースポーツ・アマ野球担当 北村孝紀)




