【スポーツ】なぜ?紀平梨花がアイスダンス挑戦を決意した理由 「可能性がある限り諦めず」ミラノ五輪出場へ語った覚悟

 フィギュアスケート女子で全日本選手権2連覇などの実績を持つ紀平梨花(23)=トヨタ自動車=が9月29日に、アイスダンスに挑戦し、西山真瑚(しんご、23)=オリエンタルバイオ=と新たにカップルを結成すると発表した。2021年シーズンから苦しんでいる右足首のケガの影響で、今季は、ミラノ・コルティナ五輪(来年2月6日開幕)の最終選考会となる全日本選手権(12月18日開幕、東京)の予選だった中部選手権(9月、名古屋)を欠場。個人ではミラノ・コルティナ五輪出場を逃したが、新たな種目での再出発を決めた理由とは。

 一度は諦めかけた夢舞台へ、再び歯車は動き出した。紀平はアイスダンス挑戦を電撃発表。シングルでは逃したミラノ・コルティナ五輪出場へ「可能性がある限りは諦めず、どのチャンスも使っていけるように努力したい」と、並々ならぬ覚悟を語った。

 長く、つらい暗闇だった。21年に右足首を負傷。22年北京五輪を断念し、直近の2シーズンも試合出場を見送った。「半年前、1年前は本当に精神的にきつかった時期が続いていた」。今季も中部選手権を欠場。シングルでの五輪への道は絶たれた。

 それでも「自問自答して、できることを続けてきた」と、決して投げやりにはならなかった。自分が活躍できる場を探し、アイスダンスと出合った。「悩んでいる時はすごくつらくて、決断をした時は前を向けていた」。新たなチャレンジが道しるべとなった。

 右足首の完治はまだというが、ジャンプがないアイスダンスは紀平にとっては好条件だ。「足の状況は意識せず、制限なく滑っている。全力を尽くせている」と充実の表情。経験したことのない種目に、初めはてこずることは多かったというが「少しずつよくなってきた。だいぶなじんできた」と手応えもつかみつつある。

 カップルを結成した西山については「すごく話しやすい」と印象を語る。拠点のトロントで話したことがきっかけで進むことが決まったアイスダンスへの道。「アイスダンスはコミュニケーションを取らないといけない。知ろうとしてくれたり、すごくたくさん話してくれる」と、ともに歩む準備はできている。

 今後は「アイスダンスに集中する」というが、シングルを引退するわけではない。「この先、滑っていって、シングルにも後々生かせるかもしれないので、並行してやっていく」と、多くの可能性を抱いている。

 デビュー戦は全日本選手権の予選会(11月1日開幕、大津)。目指すはミラノ・コルティナ五輪の団体戦出場と、30年のフランス五輪への個人出場。「誰よりもスケートに対して強い気持ちはあると思っている。夢に向かってめげずに頑張り続けたいと思っている」。完全復活を期した23歳が、再び世界で舞う。(デイリースポーツ・南香穂 )

 ◆紀平梨花(きひら・りか)2002年7月21日、兵庫県西宮市出身。5歳のとき、姉とスケート教室に参加したのがきっかけで始める。17年ジュニアGPファイナルでトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)-3回転トーループの連続ジャンプを国際スケート連盟公認大会で初めて成功。シニアデビューした18~19年はGPファイナルを制覇するなど国際大会6連勝。19~20年は四大陸選手権で2連覇した。20~21年に全日本選手権2連覇を達成。154センチ。

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