【野球】阪神・近本 200盗塁達成の秘けつは「お尻」 転機は2年前、リード時の力の入れ方改善
阪神の近本光司外野手(30)が22日・ヤクルト戦(神宮)の七回にプロ通算200盗塁を達成した。プロ野球史上81人目、球団生え抜きでは吉田義男、赤星憲広に続く3人目の快挙だった。今季は自身3年ぶりの30盗塁にも到達。ここまで盗塁を積み重ねてこられたのは、2年前にある変化があったからだった。
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22日・ヤクルト戦の七回2死一塁。近本は大西から右前打で出塁すると、続く中野への2球目でスタートを切った。鮮やかに二塁へスライディング。いつもと変わらず、軽々と通算200盗塁を決めた。
ここまで盗塁を重ねてこられた秘訣(ひけつ)は何か。近本がポイントに挙げたのが「お尻」だった。話は3年前の22年にさかのぼる。当時はお尻の力を抜いたままリードを取っていた。そこから一気に力を入れて、動きながら走るタイミングをつかんでいた。結果的には30盗塁をマーク。しかし、1年を通してお尻だけではなく腰やふくらはぎなど、あらゆるところが張って疲労がたまりやすかった。
理由は明白だった。「力が0の状態から一気に100まで上げて、また0に戻ってっていうのを繰り返していた。差が激しいから、そこに対するエネルギーを使いすぎていた」。このままでは走り続けられないと危惧。翌23年のシーズンから、「常に一定の力を入れる」意識に変えた。
前年とは違い、リード時から力を入れる。ただ、全力ではない。「60~70%ぐらい力を入れていて、それが100%にならないようにしている」。走るときはそこから80%~85%に上げながら加速していく。「スタート切るときも、切ろうと思ったらすぐ切れるし、アウトになるなと思ったら止まりやすい。3年前は0から一気に力を入れて、そこからまた止まらなあかんかったから」と力を入れ続けるメリットを明かした。疲労度も大きく変わった。疲れるのはお尻だけ。それ以外の腰やふくらはぎなどの無駄な張りがなくなった。
22年のシーズン後のオフには、トレーニングと走ることが直結してきた感覚もあった。「それまではトレーニングと走ることを別のもののように感じていたけど、『こうやったら早く走れるな』とか筋肉の使い方が分かってきて」。個人トレーナーの植松氏と自主トレをする中で、効率的な体の使い方も理解できるようになり、23年のシーズンにつながった。「2年前から走る感覚とか技術的な部分も含めてすごい良くなった。それが継続できている」。転換期があったから、近本は大記録も成し遂げることができた。(デイリースポーツ・山村菜々子)





