【スポーツ】大成功の東京世界陸上 日本勢は銅2、入賞11、日本新4→28年ロス五輪へ光 予想外の敗退も、課題はメンタル調整
陸上の世界選手権東京大会は21日に幕を閉じた。1991年以来34年ぶりに東京で開催された大会では、メイン会場の国立競技場に連日多くの観客が詰めかけた。日本勢のメダルは男子35キロ競歩の勝木隼人(自衛隊)、女子20キロ競歩の藤井菜々子(エディオン)がともに銅メダルを獲得し、前回2023年ブダペスト大会と同じ2個を手にした。入賞(8位以内)は過去最多だった前回に並ぶ11。陸上担当の南香穂記者が、9日間に及ぶ日本勢の戦いを総括した。
“成功”の世界選手権だっただろう。競歩で男女合わせて二つの銅メダルを獲得した。入賞は前回大会と同じ11に上り、4種目で日本新記録が誕生した。
男子110メートル障害で5位に入賞した村竹ラシッド(JAL)、男子400メートルでの中島佑気ジョセフ(富士通)の日本勢34年ぶりとなる決勝進出は圧巻だった。中島は予選で日本記録を更新し、決勝では日本勢最高順位の6位。地の利を生かし、日本の強さを思う存分に発揮した。
競歩でも想定外の選手がメダルを手にした。東京五輪銅メダリストで20キロ世界記録保持者の山西利和(愛知製鋼)が表彰台を逃したことは意外だったが、男子35キロで勝木、女子20キロでは藤井が日本の競歩のレベルを一気に上げ、11を数えた入賞は2028年ロサンゼルス五輪への光となった。
しかし、予想外の予選敗退も多くあった。2連覇を狙った北口榛花(JAL)は波乱の出来事だった。右肘のケガから復帰して迎えた大一番だったが振るわず。一度は世界女王となった選手が涙を流して競技場を去った。田中希実(ニューバランス)の1500メートルでの敗退は、最も意外だった。日本女王が世界でこれほどにまで苦戦するとは思わなかった。
男子100メートルもサニブラウン・ハキーム(東レ)、桐生祥秀(日本生命)、守祐陽(大東大)の3人全員が予選で敗退。2大会連続で入賞し、パリ五輪で準決勝に進出したサニブラウンは、準決勝にさえ進むことができなかった。
そして「何が足りなかったんだろう」という村竹の発言は忘れられない。常にトップを目指して、陸上だけに時間を費やしてきた人たちに足りないものとは何だったのか。
結果を残せなかった選手たちは、多くがメンタルの面での感想を残した。北口でさえ、試合後に「長い休みは必要」だと言った。技術よりも、緊張感に対するメンタルの調整がいかに重要かを感じた。
ただ、栄光をつかんだ選手もそうでない選手も、感謝の言葉は欠かさなかった。連日、チケットは完売。盛り上がった世界選手権東京大会は、結果的には大成功だったのではないだろうか。(デイリスポーツ・南香穂)





