【ファイト】地上波で話題の女子プロレス悪役 上谷沙弥の覚悟とは 「バラエティーは見ている母数が違う」

 ワールド王者に君臨する上谷沙弥(C)STARDOM
 大きな注目を集めた中野たむ(左)と上谷沙弥の敗者引退マッチ(C)STARDOM
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 女子プロレス・スターダムのワールド王者、上谷沙弥(28)の勢いが止まらない。昨年夏のヒール(悪役)ターンで話題を集め、今年は地上波バラエティー番組での活躍で一気に知名度が上昇。今夏のシングルリーグ戦「5★STAR GP」は8強止まりだったが、確かな観客増に貢献した。一生懸命さが光るテレビ、「沙弥様」と歓声を集めるリング。そのギャップの捉え方、業界に献身する野望について聞いた。

 満員札止めの2856人が集った8月23日の大田区総合体育館大会。上谷は9・6横浜武道館大会で挑戦を受けるビー・プレストリーとの前哨戦を終え「沙弥様が乗りに乗っていることを、オマエに分からせてやるよ!」とほえまくった。

 毎夏恒例のリーグ戦は今年、全14大会に1万3989人が来場。昨年の13大会9603人から増加。首都圏の会場だけでなく、京都・KBSホールが昨年506人から746人に増えたように、地方の小会場での健闘も目立った。

 団体の岡田太郎社長は「上谷というスターに助けてもらった」と感謝する。主力の舞華、朱里が故障離脱し、4月に“アイコン”岩谷麻優が退団し、中野たむが引退しても動員を伸ばした。

 上谷は昨夏のヒールターンが話題を集め、年末に団体最高峰のワールド王座を戴冠。今年2月、フジ系「千鳥の鬼レンチャン」の陸上企画に登場し、一生懸命な姿が反響を集めた。

 リングでは今春に中野たむと退団、引退をかけ熱戦。7503人を集めた4・27横浜アリーナ大会で勝利し、中野は引退した。5月にTBS系「ラヴィット!」出演が好評、7月から金曜レギュラーに就いた。

 上から目線で悪態をつくリングの沙弥様と、芸人にいじられながら一生懸命なバラエティーでの姿。そのギャップを上谷は「バラエティーの姿はリングには引きずらない。自分のヒールとしてのスタイルが崩れたら本末転倒」と語る。そして「バラエティーは見ている母数が違う。自分に興味を持ってもらい、女子プロレスを見に来させたいからね」と続けた。

 岡田社長は「2月の番組が話題になり、中野たむとの引退マッチがSNSでバズり、テレビマンの目に留まった。その運とタイミングを、上谷は自分の力でものにした」と評価。今リーグ戦は「上谷を見に来た層に、自分の“推し”を見つけてほしい」と、史上最多32選手を参戦させた。

 上谷をヒールに転向させた刀羅ナツコは「テレビで人気になるだけでなく、実際に客を呼んだのがエライところ」と称賛。「客層が変わった。特に地方で若い女性、主婦層が増えた」と語った。

 岡田社長は「今の時代、われわれでスターをつくることはできない。自分でつかむものと分かった」と驚き、刀羅は「今が頂点と思うな。もっと上を目指せ」と期待した。

 上谷は「バラエティーとは全然違う、と驚かせる自信はある。沙弥様のしもべにしてやるよ」とキッパリ。女子プロレスをけん引する覚悟と野心に満ちている。

 ◆上谷沙弥(かみたに・さや)1996年11月28日、神奈川県出身。EXILEサポートダンサーやバイトAKB、中野たむ主宰の「スターダム★アイドルズ」などで芸能活動を行い、2019年にプロレスデビュー。抜群の運動神経で同年新人王を獲得した。21年シンデレラ・トーナメントで初優勝、同年12月にワンダー王者に輝き、歴代最多V15防衛を記録。24年7月に刀羅ナツコ率いる極悪軍団H.A.T.E.(ヘイト)に加入。同年12月にワールド王者を初戴冠した。

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