【野球】日本ハム“日替わり打線”で勝利を積み重ねる理由 厚み増した選手層プラスに スタメンは89試合で88通り
日本ハムが強い。貯金21を積み上げて16年ぶりの単独首位ターンを決め、26日からの後半戦を迎える。攻撃陣の特徴は「日替わり打線」。今季のスタメンは89試合で88通りを数える。なぜ固定的なオーダーでなくとも勝利を積み重ねられるのか。背景を探った。
「日替わり」や「猫の目」は、苦境をしのぐ例えではない。どんな顔ぶれでも結果を残す。変幻自在ぶりこそが、今季の日本ハム打線の売りになっている。
前半戦の89試合で88通りのスタメンを組んだ。ベースは、五十幡、矢沢ら足のある選手を起用した「スピード系」、万波、水谷ら長打力を前面に出した「パワー系」、両方をミックスした「バランス系」の3タイプ。これを相手投手や個々の調子によって使い分ける。
日替わり打線で勝ち続けられる一番の要因は、厚みを増した選手層だ。新庄監督は「この4年間、1チームで勝てるチームを2チーム(分)作りたかった。もう誰を送り出しても戦力でしょ。何番を打たせても」と手応えを明かしている。打順も郡司、清宮幸、万波らが8つ、レイエスでさえ1~7番の7つを経験。4番には8人が座った。
絶対的レギュラーがいない状況をプラスに変えている。八木打撃コーチは「いろんな選手が同じような実力でいる。控えの選手も実力がそう変わらないのなら、固定しなくても相性のいい選手を出していった方がいい」と話す。12日のオリックス戦では、相手先発の九里に相性の悪いレイエスを休ませた。苦手との対戦で打撃を崩すことを懸念したのも理由の一つ。ケガや不調でなくとも、リーグ2冠の主砲を外せるほどの駒がそろった。
変幻自在な用兵が可能なのは、多くの選手が複数の守備位置をこなせるからだ。前半戦の戦いぶりに、指揮官は「今までいろんなポジションを守らせることをやってきた。だいたい1人3つぐらい守らせて、調子が悪いところに埋めていくという作業は、完璧にハマっています」とうなずく。
特に打撃の良い複数の捕手がユーティリティー性を備えていることは画期的。今季スタメンマスクをかぶっている郡司、田宮、吉田が左翼など違う位置でも先発している。4月5日のオリックス戦では、マルティネスも含めた捕手登録4人がスタメンに並んだ。
三塁、一塁、左翼でも先発し、万能捕手の象徴といえる郡司は「最初は大変だなと思ったけど、完全に慣れましたね。最初は気持ちの面で、今日はどこなんだろう…とかあったけど、今はもう考えていない」と笑う。「僕だけじゃなく、たぶんみんな何が起きても対応できるし、そういうチームをボスは作ってきた。いいことだと思います」と胸を張った。
スタメンをこれほど固定せずに強いチームは類を見ない。万能捕手が1軍に居並ぶ状況について、郡司は「異質だと思う。それで勝っているのが、また異質ですよね」と話すが、終わってみればスタメンは140通り…というような“異質”の優勝チームが見られるかもしれない。(デイリースポーツ日本ハム担当・藤田昌央)





