【野球】19歳、ロッテ・寺地はなぜ登場曲に尾崎豊「僕が僕であるために」を選んだのか? 最近はaiko「花火」も
懐かしいメロディーが球場に流れている。尾崎豊の「僕が僕であるために」。1983年にリリースされた曲だが、これを19歳のロッテ・寺地隆成捕手が登場曲として使用している。「特にサビの部分は結構好きなんです」と選択した理由を明かす。なぜ自身が生まれる22年も前の曲を選んだか。球宴初出場も果たす若き正捕手に思いを聞いた。
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「♪僕が僕であるために勝ち続けなきゃならない…」。ホームゲームで迎える第1打席。生まれる22年も前のバラード調の曲、そのサビ部分を耳にしながら、寺地はゆっくりと打席に入る。
出会いは明徳義塾高時代だった。「尾崎さんを聞いたきっかけが、高校の時に寮の中で、『I LOVE YOU』って歌あるじゃないですか。あれを歌ってる同級生が結構いて、いい歌だなと思って。そこから聞き始めまして」と明かした。
最近の曲ももちろん聴くが、古い歌に関心がある。「椎名林檎さん、宇多田ヒカルさん」と名前を挙げる。「(古い曲は)歌詞がしっかり入ってくるというか。メロディーもそうですけど、歌詞を聞いていいなって思えますね」というのがその理由。最近では偶数打席でaikoの「花火」を使う。これも寺地の生まれる5年前のリリース。「もうちょっと時間が空いたら、また違う夏の曲にしようかなと」と笑顔を見せた。
高卒2年目の今季は初めて開幕1軍をつかんだ。内角球を器用にさばく技術と、逆方向にもスタンドに運ぶパンチ力のある打撃でアピール。開幕当初こそ出番は少なかったが、徐々に評価を上げて正捕手に定着した。
17日のソフトバンク戦(北九州)から2試合は4番に抜てき。10代の4番は球団では1955~56年の榎本喜八以来69年ぶり2人目の快挙だ。2試合で4安打を記録。「あんまり気負うことなくできたと思います」と物おじしない一面を見せた。
その一方で捕手としての課題もある。リーグ5位の盗塁阻止率(・148)がその一つ。連日の練習で改善に取り組み、徐々に成果も出てきている。「すぐにはできないと思う。少しずつ徐々に成長はしているのかなと思います」。グラウンドで“僕が僕であるために”。日々奮闘中だ。
オールスターには監督推薦で初出場する。「いろんな人の感覚もあるんで、聞いてみたり、また学んだりできるかなと思ってます」と胸を躍らせる。球団では22年に松川が高卒ルーキーとして出場し敢闘選手賞。24年は佐藤がMVP。ここ4年で同一チームから異なる3人の捕手が出場する異例の事態となっている。
「僕が僕であるために」の歌詞を、「自分らしく生きていきたい」と解釈する。球宴では「バッティングを生かして、MVPを取れるように頑張ります!」と先輩に続く思いだ。もちろん打席に入る前には「僕が僕であるために」を「流そうかなと思います」。15ならぬ19の夜。夢の舞台で“自分らしい”プレーを披露する。(デイリースポーツ・鈴木 創太)
◆寺地 隆成(てらち・りゅうせい)2005年8月19日生まれ、19歳。東京都出身。177センチ、82キロ。右投げ左打ち。捕手。明徳義塾高から23年度ドラフト5位でロッテ入団。24年10月3日・日本ハム戦でプロ初出場初先発、初安打となる二塁打を記録した。25年4月18日の楽天戦でプロ初本塁打を含む2本塁打で、史上4人目となる10代捕手による1試合2本塁打。25年7月17日・ソフトバンク戦でプロ初の4番。





