【野球】丸刈りの危機に立たされていた元日テレ関谷亜矢子アナ「本当にやるつもりでした」 国民的行事10・8最終決戦の裏側

 元日本テレビのアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍する関谷亜矢子さん(61)。局アナ時代は「独占!!スポーツ情報」や「どんまい!!スポーツ&ワイド」を担当し、長嶋茂雄監督時代の巨人を始めスポーツの現場を取材してきた。プロ野球の歴史に刻まれる1994年の「10・8決戦」を巡っては、自身も丸刈りのピンチを迎え、別の注目を集める事態となった。

  ◇  ◇

 入社2年目に同局の看板スポーツ番組のキャスターに起用された関谷さんは、球史に残る名勝負や名場面を数多く伝えてきた。

 今も「10・8決戦」として語り継がれる1994年の巨人と中日の最終決戦もそのひとつだ。

 勝ち数、勝率で並んだ両球団は10月8日、ナゴヤ球場でのシーズン最終戦で優勝をかけて激突。巨人は槙原寛己、斎藤雅樹、桑田真澄の先発3本柱の豪華リレーで勝利し、長嶋監督は敵地で宙に舞った。この一戦の視聴率はプロ野球史上最高の48.8%(関東地区)を記録した。

 決戦を迎える前の長嶋監督のハイテンションぶりを関谷さんは語る。

 「長嶋さん、一番喜んでましたからね。最後の試合を迎える前に、各局インタビューを行ったりしたんですけど、めちゃくちゃうれしそうで。危機感がないって言ったら失礼ですけど、やっぱり、野球が面白い、国民的行事になったのがうれしくて、もうインタビューしてても顔がニコニコなんです。プレッシャーとかないのかなと思いますよね」

 重圧を感じるどころか、最終決戦を「国民的行事」と自ら命名するなど喜びを隠しきれない長嶋さんの姿に、関谷さんはその本質を見た思いだったのだろう。

 「本当にみんなを盛り上げるのが好きな、みんなが喜んでくれるのがすごいうれしい人なんだなと思いましたね」

 ただ、最終決戦での勝敗を巡っては、関谷さん自身が平常心ではいられない状況に陥っていた。

 大の巨人ファンである関谷さんはその年、番組内の「酔っ払いの主張」という視聴者が参加するコーナーで、巨人が優勝しなかったら頭を丸めることを宣言してしまっていた。

 「髪の毛を切るって言ったんですよね。ジャイアンツを信じてというか、もう何とか勝ってくれという感じで。余裕だと思ったんでしょうね。まさか、最後の試合になるまで(優勝の行方が)分からないというのはね。あれはあれでヒヤヒヤでした」

 巨人は一時、2位に10ゲーム差をつけて独走状態だったが、後半戦に入って失速し、中日に猛烈に追い上げられる展開に。それに伴い、関谷さんにも注目が集まるようになっていった。

 「夕刊紙が1面で、私と丸刈り頭の合成写真を載せたことがあって。その頭がイガグリ頭というかキレイじゃないんですよ、中途半端な頭で」

 新聞を見た関谷さんは、巨人の試合前取材に球場に行った際に、夕刊紙の顔見知りの記者に“クレーム”をいれたという。

 「ちょうどグラッデン選手の横にいる時に、知り合いの記者さんに会ったから『どうせやるなら、もっとキレイなのにして』って言ったら、今度はグラッデン選手の横にいる私の写真と『関谷アナ、もっときれいなハゲにして』みたいな見出しが1面かなんかに載って」

 おおらかだった時代を関谷さんは笑いながら懐かしんだ。

 万が一、巨人が敗れていたらどうなっていたのだろうか。

 「私も能天気だったんですよね。どっかで信じてたんでしょうね。でも、本当にやるつもりでしたよ。丸坊主にはするつもりはないけど、結構、頑張って切ろうとは思ってますね。私、わりとそういうときは、臆することなくやってしまうタイプなんで。ギリギリのところでなんとかなりましたけど」

 男社会だった当時のスポーツ現場で活躍した関谷さんは、自身の“武勇伝”をユーモアたっぷりに回想した。

(デイリースポーツ・若林みどり)

 ◇関谷亜矢子(せきや・あやこ)1964年生まれ。東京都出身。国際基督教大学卒。88年に日本テレビにアナウンサーとして入社。「独占!!スポーツ情報」「どんまい!!スポーツ&ワイド」などのスポーツ番組、情報番組の「ジパングあさ6」などに出演。五輪はリレハンメル、長野を現地取材した。2000年に退社しフリーアナとなり、イベント、シンポジウムなどの司会などを務める。C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、ワインエキスパートの資格を持つ。

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