【サッカー】王者神戸序盤低迷から快進撃の理由とは 開幕4戦未勝利、第6節18位→4月以降12勝1分4敗 首位・柏と勝ち点1差の2位浮上

 J1はシーズン後半に入り、神戸が大まくりでリーグ3連覇も現実味を帯び始めている。序盤は開幕4戦未勝利で第6節終了時には18位に沈んでいたが、4月以降は12勝1分け4敗と劇的な追い上げを見せ、7月の中断期間を前に首位・柏と勝ち点1差の2位に浮上。王者が昨季までの力を取り戻した復活の要因とは何だったのか。

 シーズン序盤の苦戦がうそのような劇的復活で、神戸は首位浮上を目前としている。そもそも不振に陥った原因は何だったのか。答えは単純明快で、戦力が整っていなかったからだ。

 シーズン前の最大の収穫と言えるのが、24年MVP、MF武藤の残留だったが、中盤の要であったMF山口はJ2長崎に流出。DF陣を中心に新戦力も加入したが、ケガ人続出で層が薄くなると、アジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)との並行でJ1を戦うのは厳しく、この時期の指揮官は常に難しい表情を浮かべていた。

 オフのフロントの働きは十分とは言えなかったかもしれない。一方で、シーズン中は適切な補強が実現。ブラジル人選手を3人獲得した3月がターニングポイントで、FWエリキは故障と復帰を繰り返した武藤の穴を埋めた。その後も横浜MからDF永戸を獲得。2人は加入直後からレギュラーに準ずる位置に定着し、戦力が一気に底上げされた。

 新戦力がチームになじむにはある程度の時間も要する。ただ、吉田監督の戦術理解への妥協しない姿勢が課題を解決する。永戸は加入からわずか1週間で先発出場し、高いパフォーマンスを発揮したが、指揮官は後にマンツーマンでの戦術講習を「1時間から1時間半を2セットぐらいやった」と明かしていた。

 環境面でも今夏から練習施設にモニター搭載のゴルフカートを導入。録画した練習での動きを逐一チェックできるようになった。口癖としている「奪ったら前へ」の速いカウンターからチャンスを生み出す戦い方は昨季までと変わらず、スカッドの充実とともに誰がピッチに立っても安定したサッカーができている。

 FW宮代、MF佐々木の活躍も大きい。シーズン中盤から大黒柱のFW大迫、武藤が故障やコンディション不良で離脱している中、宮代がリーグ戦チームトップの8得点を挙げ、佐々木も7アシストをマーク。監督は「去年から調子は良いし、相性もいい。彼らからしたらいつも通りなんでしょうけど」と若きコンビに全幅の信頼を置く。

 戦術同様に吉田監督のメンタルもぶれない。シーズン後半戦残り15試合で、優勝争いの鍵を問われると、そんなことは考えていなかったと言わんばかりに苦笑いを浮かべた。「まだまだ試合は続くんで、気にするよりも一つ一つの試合。お互いに高め合いながら一つでも多くのタイトルを取るために、日々努力するだけ」と一戦必勝の覚悟を示していた。(デイリースポーツサッカー担当・中谷大志)

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