【野球】DeNA打線活気づける3年目・林の進化の理由 体重10キロ増、バットも変更で〝王道〟の打撃追求
3年目の若武者がDeNAを活気づけている。林琢真内野手(24)は5月9日の広島戦(横浜)で印象深いサヨナラ打を放ちファンの心を射止めた。5月20日に故障によって2軍降格したが、8日に昇格後は5試合連続先発中。後半戦での上位浮上のキーマンの一人に挙げられる。
たくましい上腕二頭筋に目が奪われる。勝負の3年目と位置付けた今季、林はウエートトレーニングで肉体改造して体重は10キロアップ。「けがをしない強い体をつくって、強い打球を打ちたい」。当てにいく打撃からしっかりと振り切る打撃へとスタイルチェンジ。鍛え上げられた体から進化した打球を放っている。
5月9日の広島戦はサヨナラ打を放った後、お立ち台で「ばあちゃんが足が悪くて、きょう見に来るのが最後になるかもって言われていたので…」と涙で最愛の祖母に呼びかけた。感動を誘った打撃で、今季は確かな成長を遂げている。
過去2年はポジションをつかむことができず、「もっと強い打球を打たないと野手の間を抜けない。打球速度がないとレギュラーとしてやっていけない」と明確な目標を設定。状況によって逆方向にコンタクトする打撃も残しつつ「振りにいくところはしっかり振りにいく」と“王道”の打撃を追求した。
昨季までは長く重さのあるバットを短く持つ、というスタイルで試行錯誤したが、石井野手コーチのアドバイスもあり、扱いやすい860グラム、33・5インチのものに替え、一方でグリップは余すことなく握るようになった。そこにフィジカルのスケールアップも備わり「強い打球を打つ延長で、内野ないし、外野の間を抜ける打球が増えてきた」と実感を込める。
靍岡オフェンスチーフコーチも「打球速度がかなり上がったこと、しっかりハードヒットできるようになってきたことが大きい」と分析する。「打球速度が153キロ以上だと間を抜けるヒットが(野手に)捕られなくなる」と説明し、林はその目安をほぼ常時クリアしているという。
林は5月20日に2軍降格したが、8日に再昇格した。同日・ヤクルト戦から5試合連続で遊撃で先発。19打数6安打、打率・316と下位からチャンスメークしている。
靍岡コーチは「出塁率も高いし、しっかりと振れるということと、脚力もある。上位で出場してパフォーマンスを発揮できれば打線も活性化してつながっていく」と今後は上位での起用も視野に入れる。今季37試合に出場してまだ75打席しか立っていないが、「100打席を超えて安定してくれば自信につながると思うので、注目して見ています」と期待を込めた。
私生活では1月に人生の門出を迎えた。「結婚したことが大きい。1人じゃなくなったってことで、自分の成績が家族にも直結する」と林。責任感の強い男が、チームも押し上げる。(デイリースポーツDeNA担当・福岡香奈)
◆林 琢真(はやし・たくま)2000年8月24日生まれ、24歳。愛知県出身。171センチ、80キロ。右投げ左打ち。内野手。東邦高、駒大を経て、22年度ドラフトでDeNAから3位指名。23年3月31日の阪神戦で「2番・三塁」で1軍初先発初出場。同年4月12日のヤクルト戦でプロ初安打を放つ。二塁、遊撃もこなす堅実な守備、粘り強い打撃、俊足がセールスポイント。





