【スポーツ】ロサンゼルス五輪ではスケートボードの大逆転劇が見られない? 新ルールで変わった競技形式に「つらい」と苦悩の声も
今季からスケートボード・ストリートのルールが変更され、競技形式が変わった。2028年ロサンゼルス五輪では、昨夏のパリ五輪を金メダル獲得で沸かせた堀米雄斗(三井住友DSアセットマネジメント)のような大逆転劇は見られなくなるかもしれない。
コンコルド広場が大歓声に包まれた。パリ五輪スケートボード・男子ストリート決勝。一発技のベストトリックで2~4本目まで連続転倒して7位だった堀米が、最終5本目で超大技を成功させ、2大会連続の五輪王者に輝いた。
この大逆転劇が、次のロサンゼルス五輪で起こりにくくなるかもしれない。6月に行われたワールドツアーからルール変更があり、競技形式が変わったからだ。
21年東京五輪から採用されたスケートボード。45秒の間に技を自由に繰り出し続ける「ラン」と、一つの技の完成度を競う「ベストトリック」の2種類の滑り方で争われる。パリ五輪ではラン2回、ベストトリック5回を滑り、ランの最高得点一つと、ベストトリック上位二つの点数の合計点(計3本)で順位を決定する形式だった。
新ルールでは、試技回数がランは2回から3回に増え、ベストトリックは5回から3回に減少。それぞれの最高得点を合計して争う方式に変わった。これまでは二つの点数が採用されるベストトリックが勝敗を大きく左右しており、堀米のパリ五輪での大逆転劇もそのワンシーンだった。
これからはランの重要性が増していくことになる。ベストトリックの試技回数が減ったことで、ベストトリックで行っていた高難度の技をランに組み込む必要があるからだ。今後は安定感にたけた選手が、上位に入る傾向が予想される。日本代表の早川大輔コーチも「ランを成功させることは難しい。本当に実力のある人が優勝に近づくシステム。逆転劇が起こりにくい」と新ルールの所感を語った。
変更はロサンゼルス五輪に向けたものとみられ、3年後も同じ競技形式が採用される可能性がある。パリ五輪代表の白井空良(ムラサキスポーツ)は「ベストトリックでやっていた技をランに入れないといけなくなる。ランで90点以上出ないと戦えない。つらい。(ルール変更を)良い意味では捉えられていない」と苦悩を漏らしていた。
東京五輪、パリ五輪と2大会連続で男女ともに日本勢が頂点に立ったスケートボード。選手たちは技を磨いていくことに加えて、新ルールとも戦っていくことになりそうだ。(デイリースポーツ五輪担当・谷凌弥)





