【スポーツ】「柏鵬時代」か「輪湖時代」の再来か 大の里VS豊昇龍の5年ぶり横綱対決期待される名古屋場所
大相撲の新横綱大の里(25)=二所ノ関=が臨む名古屋場所(7月13日初日、IGアリーナ)で、4年ぶりに東西の2横綱がそろう。東に座ることが確実な豊昇龍(26)=立浪=との取組では、5年ぶりの横綱対決が期待される。所要13場所で史上最速昇進を果たした勢いのままに、混沌(こんとん)が続く賜杯争いの平定を実現するのだろうか。
東西に横綱がそろうのは、2021年秋場所の白鵬と新横綱照ノ富士以来4年ぶり。白鵬は全休した同場所後に引退したため、横綱同士が対戦すれば20年春場所(白鵬-鶴竜)以来5年ぶりとなる。
照ノ富士は横綱対決が一度もなかった。在位21場所で自身を含む12人が優勝(8人が初優勝)。“誰が優勝してもおかしくない”状況で新横綱は誕生しなかった。その中で存在感を示し、在位中に6度の上積みで通算10回の優勝を飾り、今年初場所で引退。同場所で豊昇龍が2度目の優勝を果たし、横綱に昇進した。
さらに同春場所、夏場所で大の里が連覇し、4度目の賜杯とともに昇進した。昨年九州場所の琴桜以来、大関以上が4場所連続で優勝。これは21年春~九州場所(白鵬1、照ノ富士4)以来で、流れが変わりつつある。
来場所は新横綱優勝&3連覇を目指す大の里。新横綱優勝なら大鵬、隆の里、貴乃花、稀勢の里、照ノ富士に続き6人目。大関時代から3連覇すれば大鵬、貴乃花に続き3人目。さらに3連覇自体も14年秋場所の白鵬を最後にない。
大の里は所要7場所の最速記録で初優勝した昨年夏場所から、5割超の賜杯獲得率を誇る。来場所で5度目の優勝を飾れば、名実ともに乱世を終わせることになる。
豊昇龍は昇進直後の春場所は散々だった。新横綱として三つの金星配給は栃ノ海以来61年ぶり。双羽黒以来39年ぶりの途中休場に終わった。
それでも大の里は、夏場所千秋楽で豊昇龍に上手ひねりで敗れ、全勝を阻止された。通算2勝(1不戦勝)6敗。大きく負け越す唯一の相手だ。
大の里は巨体を生かして前に出る圧力が特徴。相手に何もさせない圧倒的な勝ち方が際立つ。豊昇龍は体こそ大きくはないが首投げ、下手投げと多彩な技が目立つ。豪快だが、もろさもある。
取り口、特徴も対照的な両横綱。その中で規格外の大の里が、豊昇龍に合口が悪いのも相撲の妙味だろう。そして、ともに若い。優勝32度の大鵬、同5度の柏戸による「柏鵬時代」のように、数字以上に伯仲する関係になるのか。優勝14度の輪島、同24度の北の湖による「輪湖時代」のような関係になるのか。先の長い両横綱の対戦が楽しみだ。(デイリースポーツ・山本鋼平)