【野球】楽天 交流戦7連勝呼んだ岸の“魔法の言葉” 見えるリーグ戦浮上の根拠とは
楽天は交流戦の出だしで4連敗を含む2勝6敗。昨季王者は苦しい船出となったが、最終的には9勝8敗1分けの貯金1でフィニッシュした。連敗を止めた12日、岸孝之投手(40)がお立ち台でチームを鼓舞した“魔法の言葉”が呼んだ7連勝と、リーグ戦再開後の浮上が見える根拠に迫る。
ベテランが発した言葉が、チームに眠っていた大きな力を呼び起こした。昨季王者として交流戦に臨んだが、いきなり3カード連続負け越し。また4連敗中というチーム状況で、仲間に勇気をもたらしたのは岸だ。
12日の中日戦で7回3安打無失点と試合を作り、今季3勝目を記録。お立ち台では快投に喜ぶスタンドに「こんなもんじゃないぞ、イーグルス」と言い切った。チームの思いを代弁するかのような発言に感謝したのは首脳陣たちだった。
三木監督は「あの言葉を聞いてみんながどう思うか。自分も岸の言葉で改めて思うこともあった。無駄にしないようにしたい。すごくありがたかった」と言う。また球団のグッズチームのXに渡辺2軍監督が「まさか寡黙な岸が口に出すとは思わなかった。あそこから一気に雰囲気も変わったと思うし、ファームでも翌日に早川をはじめ、いろんな選手に伝えていった」とコメントを寄せた。
ここから快進撃は始まった。14日の阪神戦では5時間10分の死闘を戦い抜き、15日の同戦は延長十二回の総力戦を2試合連続のサヨナラ勝利で飾った。岸から始まった負けなしのバトンは1週間後、再び岸に戻る。試合前日には「やめましょう」と報道陣をけん制。「みんなのポテンシャルを見ていたら、こんなもんじゃないよなって思っただけです」と照れた。
苦しい局面で、チームを一つにまとめる言葉の力がある。7連勝の勢いにも乗って、9勝8敗1分けの貯金1で戦い終えた。だが、交流戦ではパ・リーグ6チームが上位を独占する事態となり、楽天自身も2度の“独り勝ち”をしても順位に大きな変動はなく、リーグ戦再開を迎えることになった。
浮上の鍵は何か。チームに一体感が生まれた中で、新外国人選手の獲得が後押しする。交流戦からチームに加わったゴンザレスは現在7試合連続安打中と、早くも日本の野球に順応。また11試合中5試合で打点を挙げるなど、勝負強さも光っている。
さらに22日には、20年に56試合で22本塁打を放ったア・リーグの本塁打王・ボイトも来日した。シーズン再開へ向けての起爆剤も加わり、さあ反撃開始へ。「こんなもんじゃない」チームをリーグ戦でも証明していく。(デイリースポーツ・松井美里)





