【サッカー】なぜ?急失速で初の試練に苦しむJ1町田・黒田監督の現在地 「負けない」ポリシー掲げる中「ぐっと我慢しながら」

 J1町田の黒田剛監督(54)が大きな壁にぶつかっている。今季は9節の川崎戦で引き分けて首位に立ったが、以降の7試合は1勝1分け5敗と急失速し、現在10位。常勝軍団を作り上げた青森山田高時代を含めて「負けない」ポリシーを掲げてきた指揮官にとって、初めての試練といえる状況だ。慣れない敗戦が続き、苦境に立たされている黒田監督の現在地に迫る。

 悪夢の逆転負けで早くも今季2度目の連敗を喫した7日の京都戦の試合後、黒田監督はベンチでガックリとうなだれた。「絶望感があった」。指導者としてアマチュアからプロに転身後、公の場で初めて見せる姿だった。

 あまりの憔悴(しょうすい)っぷりに、SNSでは町田サポーターから指揮官の体調を心配する声も上がるほど。勝負事に徹し、堂々とした振る舞いを見せてきた男の“らしくない”姿だった。

 29年率いた青森山田高で計7度の日本一に輝き、23年からJリーグに戦いの舞台を移した。当時J2の町田を率いて1年目で優勝し、J1昇格。2年目もJ1初挑戦のクラブとして最高の3位と躍進するなど“負け知らず”だった。

 ただ、就任3年目の今季は16節を終えて6勝3分け7敗の10位と苦戦。特にキャリア初の3連敗を経験し「心の整理がつかず、常に不安だった。恐怖すら覚えた」と慣れない負けが続き、精神がむしばまれていった。

 意外に思えるかもしれないが、黒田監督は自身を「繊細で心配性」と表現する。思えば今季開幕前、昨季首位を走っていた時期でさえも「不安」いう言葉をよく口にしていた。「他の監督が何でできているのか分からないぐらい。苦しくつらい職業であると思う」。そういった感情をとどめていた心のダムが、京都戦後に決壊してしまったのだろう。

 それでも今、黒田監督は必死に前に進もうとしている。「選手たちの上に立つ男・監督として、引きずってはいられないから」。未知の経験を成長する機会と捉えて、もがきながら目の前の一戦に臨む。

 「今みたいな流れの時は、ぐっと我慢しながらやっていくしかない。結果が伴わなくてもぶれないで、1年間どういう勝負ができたか。いい時もあって、悪い時は『相当悪かったね』って後から笑って言えるような、そういう取り組みにしていかなきゃならない」

 16節終了時点で首位鹿島との勝ち点差は13。大きく離されているが、昨年は22節終了時点で首位町田と勝ち点12差だった広島が追い抜いた例もあり、諦めるには早い。「この苦しんだ時間は絶対無駄にならないと思う」。苦難を乗り越える日まで、黒田剛はぶれずに進み続ける。(デイリースポーツ・松田和城)

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