【野球】ロッテ投手陣の謎 鉄壁ブルペンも存在しない勝利の方程式 異例システムを可能にするキーマン2投手

 ロッテが2連勝で4位に浮上した。いずれもリリーフ陣が相手打線を無失点に抑えて、勝利をつかみ取った。試合終盤を支える中継ぎ陣に、かつての阪神の「JFK」のような“勝利の方程式”は存在しない。若手の中森、木村に試合中盤を任せ、豊富なリリーフ陣を順不同で適材適所で起用する。救援投手陣の防御率はリーグトップの2・01。鉄壁のブルペンで、長いシーズンを戦い抜く。

 耳を疑う言葉が、開幕前にあった。吉井監督に投手陣の勝ちパターンについて質問した際の答えが「うち、そういうのやってないので。誰がどこで投げるか決めていない」。開幕して、その言葉の意味が分かった。今季はここまで益田、鈴木、ゲレーロがセーブを記録。リードした終盤も複数の投手が登板するなど、投手起用に法則性は見えない。阪神の「JFK」のような、いわゆる“勝利の方程式”が存在しないのだ。

 建山投手コーチはその意図を説明する。「例えば八回にクリーンアップに回る時に質の高い、いいピッチャーがいった方がいいこともありますし、そこは打順と相性を見ながら。八回に追いつかれたら元も子もないですし」。順不同、適材適所。これがリリーフ投手陣の起用方針だった。

 “存在しない方程式”を可能にするのが豊富な投手陣だ。建山コーチは「益田、沢村、鈴木、ゲレーロ、横山、小野…。1イニング任せても、しっかり抑えてくれるピッチャーがたくさんいる」と自信を持つ。そして「中森、木村の存在が大きい」とキーマンとして若手2人の名を挙げた。

 5年目の中森はここまで5試合に登板。2年目の19歳・木村は3月30日のソフトバンク戦でプロ初勝利を挙げるなどここまで5試合に登板し、なんと9回無安打無失点の成績。ともに先発投手が序盤に降板した際や、五回、六回という中盤に登板。ロングリリーフも短いイニングも対応して結果を残している。

 「中森と木村がうまく(試合の)中盤を支えてくれるので、他のピッチャーを中盤で使わなくて済む」とその評価は高い。2人の存在が豊富な救援陣を終盤に残すことを可能にする。実はここまで2日続けて連投をした投手はゲレーロと益田の2人だけ。リリーフ投手陣の消耗を避ける助けにもなっている。「今の時代、ピッチャーの出力も上がってきて、ケガのリスクも昔よりは高い」と、1年間を見据えたリスクマネジメントの意図もあった。

 ロッテのチーム防御率はリーグ2位の2・68。先発投手陣だけなら同4位の3・12だが、リリーフ陣に限ればリーグ断トツトップの2・01。数字として結果も残している。吉井監督は「2番手でロングを投げられるピッチャーがゲームの勝利の鍵を握る」と言う。若い2人の活躍が可能にする“存在しない方程式”が、巻き返しを狙うチームの強みになる。(デイリースポーツ・ロッテ担当 鈴木創太)

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