【野球】楽天・則本が“球拾い”を続ける理由 先発から抑えに配置転換した昨季から貫く準備の流儀
楽天は2013年以来、実に12年ぶりのリーグ優勝を目指している。勝ち試合を締めくくる九回は、昨季のセーブ王・則本昂大投手(34)が上がる。今季も気迫あふれる投球でここまで2勝1敗5セーブ。先発から抑えに配置転換された昨季から、クローザーとして貫く準備の流儀に迫った。
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3月28日の開幕・オリックス戦(京セラ)だった。試合前練習を終えて若手中継ぎ陣が続々とベンチに引き上げる中、則本の姿は最後までグラウンドにあった。外野で待つのはフリー打撃の打球。「バッティング練習終了」の号令がかかる瞬間まで、黙々と白球を追い続けていた。
その珍しい光景の意図は-。則本に聞けば、きょとんとした顔をした。「去年から中継ぎをやって、僕は(抑えだから)マッサージの順番も遅い。自分の勝手な思いだけど、練習を最後までやるというのが自分のモットーの一つですかね」。最後まで球拾いをする守護神の姿は、昨季からあった当たり前の姿だった。
もちろん練習の一環でもある。限られた練習時間の中で「いっぱい走りたい」という思いがある。「球を追いかけていた方が一発のスピードが出る。ランニングメニューが終わった後、もう少し走りたいなとなった時に打球を追いかけました。やっていて、出力も出るから」と隙間時間を使った個別メニューは毎日の日課にもなった。
“球拾い”は先発投手が登板翌日に行うことが多いメニューだ。則本はルーキーイヤーから11年間、先発としての調整経験もあるからこそ、「先発と一緒にやりながらですね」と、中継ぎになってからも生かしている。
8日の日本ハム戦(楽天モバイル)。同点で九回のマウンドに上がった。清宮幸に決勝打を浴びるなど今季初黒星。その日からチームは6連敗したこともあって、出番は1週間も巡ってこなかった。やり返す舞台は15日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)と間隔が空いたが、「投げたい思いはあったんですけど、でも焦ってもしょうがない」。さらに状態を上げる準備を継続して行い、連日最後まで外野で白球を追う姿があった。
昨年を思い返しながら、則本は懐かしんだ。「去年、渡辺直人さんが1軍ヘッドコーチ(現2軍監督)で『今日もしっかり捕ってたね』、『今日はやらなかったね』みたいなことを言われた。意外に野手の人も見てくれているんだな、と。これは年間通してやろうと思いましたね」。継続する難しさを超えていく意志の強さが、昨季セーブ王になったゆえんだろう。
「結構楽しいんですよ、球を追いかけるのって」。則本は野球少年に戻ったように、屈託のない表情で笑った。絶対的守護神へ。そこには昨季から続く、準備の流儀があった。(デイリースポーツ・松井美里)




