【野球】阪神 宿敵巨人に3連勝した藤川監督 感情むき出しの姿&石井3連投「全員で辞めなアカン」13年前の言葉を思い起こさせた伝統の一戦

 9回表の攻撃を終え、選手交代を告げた藤川監督(撮影・中田匡峻)
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 「巨人0-1阪神」(6日、東京ドーム)

 阪神が同一カード3連勝で単独首位に浮上。藤川球児監督は「ブルペンがチームの心臓ですし、本当にそう思い続けていますけど、非常にいいチームワークでこの3戦、きれいにはまりましたね」と振り返った。

 この3連戦、藤川監督の動きが興味深かった。4日の初戦では木浪の3点適時二塁打で突き放すと、ベンチでこん身のガッツポーズを見せた。5日の第2戦は前川が死球を受けるとベンチ前に出て厳しい表情を浮かべた。そしてこの日の第3戦、七回に3連投となる石井を投入した。

 「もともと連投に制限は持っていなくて。日曜日でどうしても勝ちたいですから。勝てるところはしっかりと。みんなが報われましたね」

 是が非でも3つ取りに行く-。そんなメッセージを選手たちに与えるかのようなタクトだった。石井がピンチを背負いながらも無失点で切り抜けると、桐敷、岩崎とつないで巨人打線をシャットアウト。初戦で「今日で終わりじゃなくて、今日で始まりなんで、どういったチームかというのを示さなければいけないという意味では、みんな素晴らしい活躍だったと思います」と振り返っていたが、3連戦の指揮官を見てふと、現役時代のある言葉を思い出した。

 藤川監督が守護神を務めていた2012年。9月まで東京ドームで阪神は8敗2分けと1勝もできていなかった。9月15日のゲームで試合を締め、チームとして初勝利を挙げた際「伝統の阪神-巨人戦だからね。とんでもなく長い歴史の中で、これでやって(敵地でシーズン未勝利)しまったら、全員で辞めなアカンかな…と、思うくらいの気持ちだった」と明かした。

 さらに「まずいなと思っていた。先輩方が築き上げてきた歴史を、自分たちが汚してはいけないとね」。阪神はその当時、下位に低迷していた。巨人からあげた1勝がペナントレースに与える影響はほとんどなかった。

 中村勝広GMの就任が発表され、来季へ向けた組閣作業、補強方針などが練り上げられていた中、守護神は巨人から東京ドームであげた1勝にこだわっていた。生え抜き選手として、“伝統の一戦”と呼ばれるゲームに勝つことの重要性。昭和の時代ほど、選手たちに対巨人という意識がなかった時期でもあっただけに、その覚悟のコメントが阪神担当記者時代の脳裏の片隅に刻まれていた。

 もちろん石井のコンディションについては翌日が休養日ということも考慮しての起用だったと思う。だからこそ「このブルペン陣の頑張りを見て、才木が頑張ってくれると思いますから」と火曜日に先発予定の才木にハッパをかけた指揮官。開幕3カードを終え、2個の貯金を持って本拠地開幕を迎えることができるのは大きい。

 現役時代の“熱い姿”を思い起こさせた巨人3連戦。藤川監督の思いが結実した同一カード3連勝だったようにも感じた。(デイリースポーツ・重松健三)

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