【野球】横浜・阿部葉が走攻守で“主役級”活躍 センバツで存在感示した原石たち
第97回選抜高校野球は横浜の19年ぶり優勝で幕を閉じた。今秋のドラフトという視点で見れば、例年に比べて「物足りない」という声があったのは事実。その中でも存在感を示した原石とは-。
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今大会で“主役級”の活躍を見せたのは横浜・阿部葉太外野手(3年)だ。これまでの1番から3番に打順を移した中、2回戦では甲子園の右中間へ大会3号となる3ランを放つなど5試合で打率・455、10打点。4盗塁と走力の高さも光り、決勝戦では危機を救うダイビングキャッチも見せるなど、走攻守全てで躍動した。2年時の昨年5月から主将を務める人間性とリーダーシップも評価されるところだ。
その他に野手陣で目を引いた選手としてスカウト陣が名前を挙げたのは、初出場ながら「ノーサイン野球」を掲げて初戦を突破したエナジックスポーツのイーマン琉海(るかい)内野手(3年)だ。2戦連続4安打を放ったほか、計2盗塁を記録して武器である俊足も存分に発揮。身長165センチと小柄ながら「身体能力が高い」「おもしろい存在」と好評価の声があった。
投手陣では、健大高崎の最速158キロ右腕・石垣元気投手(3年)が衝撃を残した。大会直前に左脇腹を故障し1回戦は登板がなかったが、準々決勝で大会新記録の最速155キロをマークするなどポテンシャルの高さを改めて証明。試合だけでなく、練習にもメジャー球団のスカウトが訪れるなど、完全復活後の姿に日米から注目が集まる。石垣不在の中、1回戦で延長10回を投げきり完投勝利を挙げた左腕・下重賢慎投手(3年)も将来が楽しみな存在だ。
投手陣では、2年生投手が際立った。筆頭は横浜の織田翔希投手だ。元監督の渡辺元智氏(80)も「逸材」と期待する金の卵。爪のアクシデントがあり十分に力は発揮できなかったが、1回戦で自己最速を更新する152キロをマークするなど全5試合で先発してインパクトを残した。“大谷2世”との呼び声が高い山梨学院の二刀流・菰田陽生投手は、2回戦で最速152キロをマークしながら3回を完全投球と圧巻の甲子園デビュー。市和歌山・丹羽涼介投手や沖縄尚学・末吉良丞投手らも今後が楽しみな存在だ。
プロ志望届提出を明言した大阪桐蔭・森陽樹投手(3年)や東海大相模・福田拓翔投手(3年)ら、春の甲子園には届かなかった逸材も多数。夏へ向けて成長を示す選手が現れるのか注目だ。(デイリースポーツ・間宮 涼)