【野球】低反発時代の“新兵器”1キロ超木製バットが使われる理由 センバツ準V智弁和歌山が導入
低反発バットが導入されてから2度目の選抜高校野球大会が幕を閉じた。昨年よりも安打数、本塁打数ともに増加し、打者が順応しつつある中でも苦戦の声はまだ聞こえる。今大会で猛打を振るった準優勝・智弁和歌山の一部の打者は重さ1キロを超える極太の木製バットを使用。パワーや体格で劣る打者の新たな選択肢となり得る“新兵器”の効果に迫る。
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極太の木製バットが低反発バットに悩む球児の救いとなるかもしれない。導入したのは今春センバツ5試合で55安打31得点と強打で鳴らした智弁和歌山。使用する球児の実力があることが前提ではあるものの、低反発時代に革命を起こしうる“新兵器”の効果を全国の舞台で見せつけた。
智弁和歌山では今大会13打数5安打の大谷魁亜内野手(3年)が1200グラム、黒川梨大郎内野手(2年)が1300グラムの木製バットを使用。一般的なマスコットバットほど重く、芯の部分が明らかに太い。力のある打者にしか扱えなさそうな異質なシルエットのバットだが、意外にも打撃に苦戦していたという2人が使用している。
大谷は金属バットについて「全然打てなかった。自分の力が必要になる」と説明。一方、現在使用している極太バットの打感は「重い分、芯に当てるだけで飛んでいってくれる」と話す。エナジックスポーツとの2回戦では三回に三塁線を破る左前適時打を記録。スイングの速さ以上に鋭い打球が飛び出し、金属バットとの違いを物語っていた。
低反発バットに力で対応できない打者には一定の効果が見込めそうではある。ただ、一朝一夕で扱えるような代物ではないことも確かだ。大谷は昨夏から同バットを使用。「ちょっと振っただけで筋肉痛になって大変でした」とその重さのバットを体になじませるのには時間がかかったという。グリップエンドから拳一つ分短く握り、「プライドを捨てて逆方向」と打撃の意識はミートに全振り。太いから当てやすい、重いから軽打で打ち返せる。その特性を理解して扱うことが同バットの恩恵を受けるための条件となり得そうだ。
阪神、楽天などでプレーした中谷仁監督(45)はプロ時代に恩師の野村克也監督から助言を受け、「太いタイプなら当たる可能性が高いんじゃないかと」と太く重たい木製バットを使用。その経験を基に打撃に苦戦していた大谷らにも使用を提案したという。
ルール上、金属バットよりも柔軟に形状や重さを変化させやすい木製バット。金属バット一択の時代から移行し始めている今、木製バットのタイプの多様化が高校野球に新たな流行をもたらすかもしれない。
