【スポーツ】カーリング日本選手権、首都圏初開催の収穫とは 酒巻氏「新たな扉が開けた」 前売り券完売&13100人動員

 逆転勝利を挙げスタンドに向けてガッツポーズの(左から)ロコ・ソラーレの鈴木夕湖、藤澤五月、吉田知那美吉田夕梨花=横浜BUNTAI(2月6日)
 横浜BUNTAIで行われたカーリング日本選手権でプレーするロコ・ソラーレの藤沢(奥)ら=6日
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 カーリングの26年ミラノ・コルティナ五輪代表候補決定戦進出を懸けた日本選手権が、2~9日に横浜BUNTAIで行われた。同大会初の首都圏開催となったが、課題であったアリーナアイスは選手に好評で、前売り券は連日完売。初の試みで得た収穫について分析した。

 初の首都圏開催となった今年の日本選手権。大会実行委員長の酒巻智氏は「全体的に見たとき、成功と言っていい」と、総括した。

 専用施設ではないアリーナ型施設に氷を張った会場設営に関して、関係者は試行錯誤を重ねた。大会序盤には石にゴミがかみ、失速するアクシデントが見受けられたが、アリーナアイスについてはロコ・ソラーレの藤沢五月も「良いアイスだと思います」と絶賛した。

 関係者が特に気を使ったのは、氷の状態を保つための気温と湿度だという。会場の至る所に温度計と湿度計を設置し徹底的に管理した。観客が利用するスタンドへの入り口の扉もそれぞれ開閉する枚数を決め、入ってくる風を調整。酒巻氏も「かなりの努力と苦労があった」と話した。

 チーフアイスメーカーの藤巻正氏は、会場内の温度について「見ていただく方には暖かいところで見てほしい。選手も外国の世界選手権では半袖。(日本でも)半袖にさせようと」と細かいこだわりも口にした。

 選手の腰より上は暖かく、氷上には冷気だまりができるような空気の流れをつくることで、こだわりを実現。実際、リンク上に立つと、上半身と下半身の気温差は5~6度あり、リンクとスタンドでは10度の差があったという。2日に初戦を終えた後、藤沢も「会場の中は割と暖かくて、カイロを貼っていたけどいらないんじゃないか」と感想を話した。藤巻氏も「アイデア通りいった」とうなずいた。

 集客の面でも成功を収めた。大会8日間、前売り券は完売し、のべ1万3100人を動員した。酒巻氏は「カーリングはお客さんに見てもらえるスポーツなんだということは、新たな扉が開けた」と満足。連日、2000人を超える観客からの声援を受けた藤沢は「ここまで満席の試合でプレーするのは久しぶり。応援がプラスに影響したと感じた」と笑顔だった。

 大会中は22年北京冬季五輪のチーフアイスメーカーが視察に訪れていたというが、「いろんな部分で世界選手権ができる施設であり、氷であるとおっしゃっていただけた」と酒巻氏。来年以降の横浜での開催にも前向きで、特にフランス・アルプス地域での30年冬季五輪出場が懸かる世界選手権の誘致に積極的。初の試みとなった首都圏開催は、日本カーリングの新たな扉が開かれる大きなきっかけとなった。(デイリースポーツ・南香穂)

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