【野球】前阪神の青柳晃洋はメジャーでも一塁にワンバン送球するのか 過去に通算200勝左腕が同様の手法で38歳まで現役

 前阪神の青柳晃洋投手が米大リーグ・フィリーズとマイナー契約を結び、フロリダ州で現地時間2月14日から始まるバッテリー組のキャンプに招待選手として参加する。メジャーのベンチ入りが確約された契約でないため、青柳にとっては1試合、1球の結果が自らの今後を占うことになるが、ひとつ気になるのが右腕は米国でどのように一塁に送球するのだろうかということだ。

 青柳は2020年頃から、バントなどを含めた投ゴロを処理した際、一塁にワンバウンド送球してアウトにする手法を選択している。

 もちろん、ノーバウンドで一塁に送球することはできるのだが、悪送球などでピンチを広げることもあった青柳は当時、「同じことを繰り返すのではなく、何とかしないといけない。送球が苦手で、格好悪くてもアウトになればいいと思っている。高めに浮いてしまえば、捕れないボールもありますけど、低めなら何とかなると思うので。矢野監督からも『ゴロになっても走者より速く一塁に届けばいい』とアドバイスしてもらいました」と、ワンバウンド送球を選んだ理由を語っている。

 あえて自信のないノーバウンド送球にこだわってしまえば、悪送球となって無駄な点を与えてしまう可能性は否定できない。それならば、見た目はお世辞にも素敵とは呼ばれなくても、アウトにできる確率が高い手段を選ぶというのは、決して間違った判断ではなかったはずだ。

 だが果たして、この手法がメジャーで通用するのだろうかという疑問がわき上がる。しかしながら、過去に送球を苦手とした投手が青柳と同様の手法を選択していた。それがカブスなどで活躍した通算200勝を誇る左腕、ジョン・レスターだ。レスターは一塁への送球やけん制球を投げるのが苦手だったため、課題を克服するための一手として、ワンバウンド送球でアウトを積み上げる工夫を施し、38歳まで長く現役を続けた。

 阪神OBの中田良弘氏は「環境が変わったからといって、自分まで変えてしまわないことが大事。今までそのやり方でやってきたんだから、そのやり方でやればいい。特に向こうは天然芝の球場が多いから、早く慣れることも必要になってくる。最初はなんだ?と思われるかもしれないけど、結局のところ、アウトにできればいいんだから」とし、事前に首脳陣や一塁手を中心としたチームメートにワンバウンド送球すると告げておくことが不可欠とも付け加えた。

 投内連係などが始まれば、青柳のプレーに最初は注目が集まる可能性はあるが、目の肥えたファンはレスターの再来だと受け入れてくれるだろう。それよりも、中田氏が気にかけたのは、東京五輪で制球に安定感を欠いた、一般的にNPB公式球より滑りやすいとされるメジャー球への対応。日本と比べて硬いとされるマウンドへの対応力も問われる。メジャーでは絶対数の少ない変則横手投げ右腕。先発なのか、リリーフなのか、現時点で起用法が確定されるだけの立ち位置ではないが、存在の希少さを生かして、大観衆が集まる晴れ舞台に立つ日を楽しみに待ちたい。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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